最近のテレビはつまらない。私が無気力になっているからなのか、テレビに飽きてしまったのか、何も見たいものがない。先日、山口百恵さんと三浦友和さんが初めて共演したという『伊豆の踊子』を見た。14・5歳の女の子が抱いた淡い恋心が切なかった。
『伊豆の踊り子』とか、『野菊の墓』とか、日本の小説は情緒的だ。同じ初恋を描いたツルゲーネフの作品とはどこか違う。天城トンネルのつながりで、松本清張原作のドラマ『天城越え』を見た。NHKBSで放送されたその作品は、1978年に制作されたものという。
娼婦役の大谷直子さんがエロっぽかった。大谷さんには『受胎告知』という妊婦のヌード写真集がある。この娼婦役をその後、田中裕子さんと田中美佐子さんが演じている。田中美佐子さんは色っぽい感じがしないが、田中裕子さんなら妖艶だっただろうと想像できる。
たまたま出会った3人が天城越えをする。ひとりはどこかの置き屋から逃げ出してきた娼婦で、ひとりは家業が嫌で家出した少年、もうひとりは無口な土工だ。少年を鶴見慎吾さん、土工を佐藤慶さんが演じていた。土工の背中には幼い時に受けた虐待の傷痕がある。
冷え性という女は、胸に少年の手を入れさせて、「あったかい」と言う。土工と女の交わりを見てしまった少年は、女が男にいじめられていると思ったのか、それとも女に恋心を抱いたのか、分からないまま、男を刺し殺してしまう。
少年の罪を被る女、女を罪人にして悩む少年、この辺りの人間模様が映像としてよく描かれていた。やっぱり松本清張は人の心理をしっかり見ている。喧しいバラエティー番組より、古い作品でもこちらの方が面白かった。
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