姉の見舞いに行ってきた。姪っ子から「腰が痛くてベッドで横になっている」と聞いてはいたが、現実にその姿を見るとなんとも痛ましい。食事が細くなっているらしいが、目も口も元気だ。「歯が抜けたので入歯とも考えたけど、もし喉に詰るようなことがあったら大変だから止めた。歯のことは気にしてるから言ったらダメよ」と姪っ子は言う。
ベッドの姉は私たちの訪問を喜んでいたが、毎日来ている自分の娘には、「あんたは誰?」と嫌味なことを言う。姉はもともと色白だが、カミさんが「お姉さん、肌の色、白いんですね」と褒めると、「ハーフだから」と言う。私が「えっ、聞こえなかったけど、ハーがない」と突っ込むと、ムッとした顔で睨みつけてきた。なんだ、分かってるじゃーないかと内心思った。
姉は来年3月に米寿を迎えるが、施設から「数え 88歳―米寿の祝い」と書いた賞状が届けられていた。「凄いね。米寿なんだね」と冷やかすと、「凄くなんかない。米寿なんてなりたくない」と言う。このやり取りもはっきりしていて別に異常なところはない。姪っ子は3・4歳頃、連れて歩くと街行く人が「まあ―可愛い」と言ってくれたと妹が話す。
すると姉は突然、壁のポスターの秋川雅史さんを指さして、「この人の方が可愛い」と言う。「へえー、姉さんは秋川さんのお嫁さんなりたいの?」と聞くと、「この人になりたいの」と言い返してきた。「男になるのは無理じゃーない」とみんなで笑ったが、話題を自分の方に変えたかったのか、本当に秋川さんが好きだということなのか、よく分からない。
私は朝からクシャミと鼻水の連発で、絶不調になっている。姉を見送るまではなんとか元気でいなくてはならない。姪っ子に肩身の狭い思いをさせる訳にはいかない。おっと、こんな「老い」の話など書くと、先輩から「勝手に老人ぶるな」と叱られそうだ。朝、ルーフバルコニーで作業をしていた時は「色恋」の話を思いついたのに、昼になったらすっかり忘れてしまった。ボケとる。
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