運動会が近いのか、小学校の運動場には白線が引かれ、徒競走の練習が行われている。別のクラスは鬼ごっこのようなゲームに夢中だ。そんな中で、奇妙な光景が気になった。小4か5学年と思われるが、若い男の先生を女の子が4人で取り囲んでいる。
そう見えたが、実際は抱き着いていた。先生が何か言ったら2人は離れたが、残りの2人はさらに強くしがみついていく。2人のうちの1人は背の高い女の子で、その子も先生に言われてなのか、しがみついていた手を離した。
残る女の子は、しがみつくというより先生の身体に、正面からピッタリと抱き着いている。両脚で先生の身体を挟み、両手は先生の首の後ろで結んでいる。授業が終わっても、この女の子は先生の腰にしがみついていた。
「わいせつな行為」で咎められそうだけれど、先生はそのまま校舎へ引き上げていった。周りの子どもたちも騒ぎ立てることも無かった。心に傷のある子なのだろうか。だから先生は叱ったりせず、動揺する様子もなかったのか。
ルシア・ベルリンの『すべての月、すべての年』は、19の短編から成る小説だが、一気に読める。ルシアより5歳年上のアリス・マンローの『ディア・ライフ』も14の短編を集めたものだが、ふたり共に「人にはそれぞれの人生がある」と言い切っているように思う。
アリス・マンローは短編の女王と称賛され、ノーベル文学賞を授与されている。男性の作家で最近、凄いなと思う作家に私は出逢わないが、私が新聞で知り読んでみたいと思ったのは、結果的に女性の作家ばかりだった。
彼女たちの何気ない日常を淡々と描写する筆使いに、知らず知らず引き込まれてしまう。小説の世界は今、女性の時代なのかも知れない。私の中学からの友だちは男性だが、彼のブログを読み、彼の周りを題材に小説を書いてみたらいいのにと余計なことを考えてしまった。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます