友々素敵

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「白人の世界支配は終った」を読んで

2014年08月11日 19時02分19秒 | Weblog

 書店を覗いたら文芸春秋9月号が並べてあった。何気なく見ていたら、石原慎太郎氏が「白人の世界支配は終った」と題して書いていたので買って来た。私は石原氏が芥川賞を受賞した『太陽の季節』や『行為と死』を読んで、社会の規範に反逆する作家と思っていた。けれども国会議員となった石原氏は「憲法は押し付けられたもの。自主憲法の制定を」と、私には全く受け入れられない考えの人だった。

 読んでみて、石原氏の原点が分かった。彼は小学生の時、艦載機から機銃掃射を受け一緒にいた友だちは負傷し一生不具となった。また、戦争裁判を傍聴したが、英語で進められ通訳もなかったから、一方的な裁判だと感じた。戦勝国による一方的な戦争裁判の屈辱と遊び半分に子どもまでも殺そうとしたアメリカへの憎悪が、石原氏の思想の根底にあるようだ。そして、西洋の歴史認識では理解できない、彼らの枠外で成長してきた日本への脅威が「日本の解体」につながったのだと分析する。

 確かに日本は鎖国していた江戸時代、世界に先駆けて微分積分を考案しているし、先物買いや手形の発行など、抽象経済を生み出している。禅は宗教というよりも哲学として人々の生活に根付いた。私も日本人は素晴しい能力を持っていると思う。また、マッカーサーが「太平洋戦争は日本の自衛のための戦争であった」と言ったことや、アジアや中東やアフリカが独立戦争を戦えたのは「日本のおかげだ」と感謝していることも確かである。

 だから、「あの戦争は正しかった」「侵略戦争というのは自虐史観だ」「慰安婦はどこの国でもいた」と主張することが私には理解できない。この主張から何が生まれるというのだろう。戦争という根本原因を廃絶するための考えも方策も生まれてこない。石原氏が言うように、「白人の世界支配は終った」と私も思うし、その根拠に揚げているいくつかの事例にも異論はない。

 けれども現実は、アメリカ、ヨーロッパ、中国などの強国が互いにけん制し合いながらも覇権争いを行なっている。「新しい時代のあり方へ」と歴史は進んでいるのだろうが、確かなものは何もない。どのような形でみんなが共存していくことがベストなのかを思うと、とてもじゃーないが「次世代の党」は骨董的価値もないと私は思う。

 明日はカミさんの実家へお参りに行くので、ブログを休みます。

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