偶然は意外に起きるものだ。日赤の循環器科の受付になんとなく覚えのある男がいた。話し方で同じ街に住む昔の知り合いと分かった。相変わらず背広姿で、受付の女性にペコペコ頭を下げている。「久しぶりだねー」と声をかけると先程とは打って変わり、「正月早々、葬式続きだギャー」と言う。年末に街中で交通事故があり、2人が亡くなったが「隣りの家だ」と言う。その葬式の最中に重体だった人も亡くなり、葬儀が続いたというのだ。
このところ立て続けに近くで交通事故死が発生している。「それだけじゃーないぜ」と人の名を挙げ、「あいつはもうアカンぜ」と捲し立てる。情報ツウというか、昔から人のウワサをよく知っていた。人の裏事情に詳しい人はどこにでもいる。人は他人の不幸が好きなのかも知れないが、テレビで大金持ちの生活を特集していたから、他人の不幸ばかりが好きなわけではないようだ。
年末年始はテレビばかり見ていた。以前はみんながやって来たからテレビを見る余裕はなかった。だから「今年は紅白を観る」と言うカミさんに付き合った。久しぶりに紅白を観てガッカリした。全くのバラエティー番組ではないか。NHKは国民から料金を取って運営しているのに、どうして民放と同じことをする必要があるのだろう。NHKも電話や郵便と同様に、株式会社にして民営化した方がいい。
そうすれば株を売って国家財政に寄与できる。公営放送の必要性など存在しない。もし、このまま公営を続けるなら、民放とは全く違う路線を行って欲しい。NHKはお金がジャブジャブあるから無駄な番組を作り過ぎる。新聞もテレビも人々への影響力はすこぶる大きい。ナチスの宣伝相のゲッペルスは「ウソも百回言えば真実になる」と言ったけれど、人は手を変え品を変え、同じことを何度も見聞きしていると「そうだ」と思うようになる。
私はまた脇腹が痛むので、自分に「痛いのは幻想だ」と言い聞かせてみる。「痛いと思うのは脳であって、脇腹ではない」「脳で感じなければ脇腹に痛みはない」「人は痛みを感じなければ痛くない」‥等々。