◎ ずっと以前、田園都市線の二子新地前駅から徒歩3分の独身寮に住んでいた頃、まったく偶然に、銭湯へ行く途中、演劇関係の仕事をしているAくんと出くわした。「新宿紀伊国屋で公演中だから、来てよ!」と入場券をいただいたと記憶している。彼は栃木県出身で、大学時代から演劇を研究していたし、友人たちと出かけたヨーロッパ旅行でも、ただ一人目的意識を持って、1か月という期間を観劇に費やした。現在もフリーの舞台監督をしているが、そのときは別役実さん作の『西向く侍』という前衛的な内容の演劇だった。
◎ その日、ぼくはAくんの好きなハイライトを1カートン差し入れ、幕間を利用して一服していたら、前歯にたばこを挟むようにして、市川昆さんがとりまきの人たちとともに、美味しそうにたばこを吸っていた。『西向く侍』は、会社に行くと言って家を出て、決まった公園で一日を過ごすサラリーマンの物語だったように記憶している。それから何年かして、月の中で31日に満たない月が二四六九士月であり、「西向く侍」はそれをもじった言葉であることを知った。というわけで、今日をもって侍(士)の月が終わり、明日から12月、どおりで風が冷たいぜ!(2004 11/30)
◎ その日、ぼくはAくんの好きなハイライトを1カートン差し入れ、幕間を利用して一服していたら、前歯にたばこを挟むようにして、市川昆さんがとりまきの人たちとともに、美味しそうにたばこを吸っていた。『西向く侍』は、会社に行くと言って家を出て、決まった公園で一日を過ごすサラリーマンの物語だったように記憶している。それから何年かして、月の中で31日に満たない月が二四六九士月であり、「西向く侍」はそれをもじった言葉であることを知った。というわけで、今日をもって侍(士)の月が終わり、明日から12月、どおりで風が冷たいぜ!(2004 11/30)