◎ わが国では、度重なるたばこ価格の値上げと喫煙する場所の極端な減少によって、たばこを吸う人の数が目に見えて減り続けている。それにも関わらず、「たばこの国際比較からずれば、日本のたばこ価格は安すぎであり、1000円程度まで値上げすべきである」という主張が後を絶たない。その論拠として、財務省「税制調査会説明資料」で明らかにされた「2005年1月現在にもとづく1箱当りの数値」がしばしば用いられる。具体的には、英国(982円)、米国のニューヨーク市(735円)、フランス(621円)、そして日本が270円である。
◎ しかし、これらの数字にはマジックがあって、単純な比較はすこぶる危険である。各国の税制はもとより、公共料金の水準、歴史や文化とも大いに関係があることを見逃してはいけない。そこで、最近興味のある記事を見つけたのでご紹介しておきたい。時事通信によれば、「ロンドン外国為替市場では7月17日、英ポンドの対円相場が上伸、一時は16年ぶりに1ポンド=250円を突破し、ロンドンの地下鉄初乗り料金(4ポンド)が円換算で1000円を超え、日本人観光客や円を基準に給料を受け取る駐在員から、日本との価格差の広がりに悲鳴も上がっている」というのだ。
◎ 東京都内の地下鉄の初乗り料金は、皆さんもご存知のとおり「160円」である。そして、日本のたばこの中心価格は「300円」である。一方、英国(ロンドン)の地下鉄初乗り料金が「1000円」で、たばこも約1000円(982円)なのだ。つまり、英国では公共的な料金として、「地下鉄の初乗り料金とたばこの価格はニアイコール」に設定されているから、断じて「たばこだけを健康に害があるから高くしている」のではない。
◎ 地下鉄料金という公共性の高い料金との比較でいえば、日本におけるたばこの価格は、すでに約2倍に設定されているのだ。このように、数字のマジックによる主張は、他国の事情も知らないで、自らの考え方を正当化しようとする短絡的思考であると言わざるを得ない。それから、あえて公平性の観点から、時事通信の記事にも注文をつけておきたいのだが、わざわざ「初乗り料金」と書いているので間違いはないと考えたいが、ロンドンの地下鉄には1dayチケットタイプも多いことから、慎重なデータの確認が必要である。日本だって、1日乗り放題のチケットは「それなりの料金」を設定しているからだ。というわけで、数字の比較はわかりやすいけれど、きちんと吟味しておかなければいけないと思うのだ。(2007 07/23)
◎ しかし、これらの数字にはマジックがあって、単純な比較はすこぶる危険である。各国の税制はもとより、公共料金の水準、歴史や文化とも大いに関係があることを見逃してはいけない。そこで、最近興味のある記事を見つけたのでご紹介しておきたい。時事通信によれば、「ロンドン外国為替市場では7月17日、英ポンドの対円相場が上伸、一時は16年ぶりに1ポンド=250円を突破し、ロンドンの地下鉄初乗り料金(4ポンド)が円換算で1000円を超え、日本人観光客や円を基準に給料を受け取る駐在員から、日本との価格差の広がりに悲鳴も上がっている」というのだ。
◎ 東京都内の地下鉄の初乗り料金は、皆さんもご存知のとおり「160円」である。そして、日本のたばこの中心価格は「300円」である。一方、英国(ロンドン)の地下鉄初乗り料金が「1000円」で、たばこも約1000円(982円)なのだ。つまり、英国では公共的な料金として、「地下鉄の初乗り料金とたばこの価格はニアイコール」に設定されているから、断じて「たばこだけを健康に害があるから高くしている」のではない。
◎ 地下鉄料金という公共性の高い料金との比較でいえば、日本におけるたばこの価格は、すでに約2倍に設定されているのだ。このように、数字のマジックによる主張は、他国の事情も知らないで、自らの考え方を正当化しようとする短絡的思考であると言わざるを得ない。それから、あえて公平性の観点から、時事通信の記事にも注文をつけておきたいのだが、わざわざ「初乗り料金」と書いているので間違いはないと考えたいが、ロンドンの地下鉄には1dayチケットタイプも多いことから、慎重なデータの確認が必要である。日本だって、1日乗り放題のチケットは「それなりの料金」を設定しているからだ。というわけで、数字の比較はわかりやすいけれど、きちんと吟味しておかなければいけないと思うのだ。(2007 07/23)