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飲めば香る細身のペットボトル飲料…

2008年01月12日 | たばこの気持ち
◎ 体臭を消す、部屋の臭いを落とす、トイレに香りづけする、衣服の臭いを消すなど、各種の商品が氾濫しているが、そのコンセプトは外部からの「脱臭と芳香」である。体臭については、古今東西、とくに女性にとっては香水に象徴されるが、とても大事なツールなのであり、昨今では男女を問わず、わきの下の消臭剤はコンビニ等での定番商品になっている。また、ペットブームでもあることから、食べ物の中にある種の物質を混入させ、糞尿の臭いを低減させる商品も販売されている。ハムスターでさえ、湿気の多い日などには気になる臭いを発するので、わが家でもヒマワリの種に混ぜて与えている。

◎  私自身の考え方としては、古い人間なのかも知れないけれど、たばこの臭いや加齢臭を含め、「何でも嫌な臭いは消す」ということが、「果たして善なのだろうか」という疑問を持っている。獣の臭いを失った食肉、生臭さの感じられないトマト、青臭さの薄れたレタス、鼻をつくような香りの消えたニンジンなど、栄養価的にみても、決して良い傾向ではないはずだ。人間として、たとえ嫌な臭いであっても、いったんは身体の中を通し、それら種々のかすかな違いも嗅ぎ分ける能力を養う必要がある。現代は、その訓練をする以前に「シャットアウト」してしまう傾向がある。私は、その臭いゆえにトマト・ニンジン・ミョウガが大嫌だった。でもいつしか…
―― その香りゆえに、大好物なのである

◎ 人間は成長とともに、「嫌な臭い」が「大好きな香り」に変化することもが多いにあり得るのだ。というわけで、香りを外的なもので消し去ることに対して、私は違和感を抱いているけれども、先日、上野駅の売店で買った「飲めば香る」という飲料(*)については、「有っても良いかな」と思ったのである。

* 香気成分「リナロール」をレモン約25個分(市販されている代表的な果汁1%のレモン飲料のリナロール含有量と比較して約100倍に相当)含み、飲むと爽やかな柑橘系の香りが漂うフレグランス飲料「FRAGRA WATER」(JTのHP・商品情報から引用)(2007 07/18)
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【ジキル&ハイド】

2008年01月12日 | 小説・映画等に出てくる「たばこ」
◎ NHK衛星映画で、ジュリア・ロバーツ主演の『ジキル&ハイド』をみた。幼児期に、父から虐待を受けたマリーは、ジキル博士から「父を憎んでいるか?」を問われ、彼女は悲しい表情で「父を憎んではいない。お酒のせいよ」と答えるシーンがあった。
 別にここで、お酒の悪影響について述べるつもりはないが、日本でも小原庄助さんは「朝寝・朝酒・朝湯が大好きで、それで身上(しんしょう)つぶした」という歌があるぐらいだから、過度に飲みすぎたり、それが習慣になったりすると、本人の肉体を傷めると同時に、まわりへの多大な迷惑にもなる。

◎ 私は、『ジキル&ハイド』を見ながら、最近の「たばこは害であり、人の命を奪う」というキャンペーンについて考えてみた。これが、公共施設等での禁煙はもちろん、義務教育レベルから徹底されていけば、
たとえば・・・

(1)ヤニ臭い父を憎んではいない。みんな、たばこが悪い。
(2)彼の仕事は一流なのだが、たばこが入ると駄目なのだ。
(3)早いうちにたばこを止めていれば、ひと財産残せたものを。
(4)キッチンスモーカーになってしまった母を哀れに思う。
(5)たばこが彼の人生を大きく狂わせたのであった。
(6)20世紀の人類は、たばこ癖が悪かった。

などというセリフが、将来の映画の中に数多く出てくるのではないかと想像してしまった。単なる私の「被害妄想」に過ぎなければ良いけれど。(TUE.17.JULY.2001)
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『死せる魂』(下)

2008年01月12日 | 小説・映画等に出てくる「たばこ」
◆ 『死せる魂』(下)     水元 正介

◎ たばこ登場のシーン

p8 ――カペイキン大尉というのはですね、――と郵便局長は、だれか隣りの者に指先をつっこまれることを恐れて嗅ぎ煙草いれの口半分しか開かずに、言った。というのも彼は他人の指先はどうしても清潔なものと思えないで、いつも「ねえきみ、きには自分の指先をどこへでもつっこむようだが、嗅ぎ煙草というやつは、清潔にしておかなけりゃならんものだからね」と口癖のように言っていたからである。「そのカペイキン大尉というのはですね、――と彼はまず煙草を嗅いでからそうくり返した。

p10 (煙草以外の記述で興味ある記述)…食事は――玉菜汁(シチュー)と叩き肉…

p27 ( 同 )しかも現代人はしたり顔にあざわらいしている半面、自分らもまた後世のもの笑いになるようなあらたな混迷の数々を大っぴらに犯しはじめているのである。

p30-31 ―― … きょうは飯どきにくだらんものをやたら食わされたんで、どうも胃がガタガタしかけているんだよ。ときに煙草を一服つめてくれるように言いつけてくれないか?きみのパイプはどこだい?
――だってぼくはパイプは吸わないのですから、――とチーチコフはすげなく言ってのけた。
――なにをくだらない、きみが煙草のみだっていうのをおれ(ノジドリョフ)が知らないじゃあるまいし。

p58  たとえば、この課長が書きものをするときに使う羽根ペンのけずりかたを注意ぶかく観察して、おなじようなものを何本か用意しておき、毎回それを相手の手もとへ置いておいてやったり、卓上の砂埃や煙草の紛を吹きはらったり掃き捨ててやったり、彼のインキ壷に敷く新しいきれをもってきてやったり、どこからか帽子を、よくも世のなかにこんなひどいものがあると思われるほどおよそみっともない帽子をさがしてきて、退庁の1分前になると彼のそばに必ず置いてやったり、相手が壁ぎわで背中を白くよごしたときにはそれを払ってやったりしたものである。

p93 やがて寝台から身をおこすと、彼(チェンチェトニコフ)は顔を洗って、部屋着(ガウン)をひっかけると、お茶と、コーヒーと、ココアと、そのうえさらに搾りたての牛乳を飲むために客間へ出てゆき、どれもすこしずつすすりながら、あたりかまわずパン屑をちらかしたり、そこらじゅうをみっともないほどパイプの灰だらけにしたりする。

p95 (アンドレイ・イワーニビッチ・チェンチェトニコフの昼食後)…そのあとにはパイプとコーヒーがつづき、将棋を一人でさしたりする。

p112 これまでは隣人たちのなかでも、からだのしんまで煙草のやにの滲みとおった退役驃騎兵中尉とか、当時流行のパンフレットや新聞から知識をよせ集めてくる臆面もなない中途退学の大学生がよく立ち寄ったりしたものだった。

p124 -125 先方がもうもうと雲のようにパイプの煙をはき出せば、こちらは、パイプこそのまないが、ちゃんとそれにふさわしいような手慰みを思いついて、たとえば、いぶし銀の煙草入れをポケットから取りだして左手の二本指のあいだにはさみ、まるで地球の表面が地軸を中心に回転するように右手の指先でくるくるまわしてみたり、さもなければ口笛にあわせて指先でそれをたたいたりするのである。

p131 あるとき、食後に、例によって銀の煙草入れを軸を中心に指さきでくるくるまわしながら、彼はこんなふうに切りだした。

p132 ――相手はホッと溜息をついて、パイプの煙を吹きあげると、こう言った。

p178  どうも人をまどわすものがやたらとできましたでな。こいつは、なんですな、悪魔の野郎が世のなかをひっくり返しやがるにちがいあしませんな!やたら百姓どもをたぶらかすものばかりできるじゃござんせんか、やれ煙草だ、やれなんだと。困ったもんでがすよ、コンスタンチン・フョードロヴィッチさま。どうも人間てやつは――我慢ちゅうことができねえでがすからな。

p195 けっして現代人をなまくらにしてしまったあらゆる欲望を満たすための工場ではありません。あとになってそれを維持したり、販路を拡張したりするために、嫌悪な手段のかぎりを尽くしてみじめな大衆を堕落・頽廃へ追いやらねばならぬような工場ではありません。わたしは自分の工場では、そういう高級な欲求をそそるような生産は、たとえその効能をいくら言われても、絶対にやりませんよ。煙草にしろ、砂糖にしろ、百万の損になっても(やらないことによって損をするの意味)、そんなものは生産しません。
――フム、経済学か!―― コスタンジョーグロは相手のことばなどには耳も貸さずに、顔に憤懣やるかたない皮肉の色をたたえてしゃべりつづけるのだった。なにが経済学だ!ばかがばかにおぶさってばかを追いかけてやがる――自分のばか面の鼻のさきも見えもしないくせに!そんなとんまが臆面もなく講壇へしゃしゃり出て、眼鏡なんぞをかけやがって……あほったらしい!――そして彼は憤慨のあまりペッと唾をはいた。

p204 同様にチーチコフの場合にも、その宵のことはすべたが心に刻みこまれた――小ざっぱりと整頓された居心地のよい部屋や、利口な主人の顔にたたえられていた好人物らしい表情はもちろんのこと、壁紙の模様までも……、それからさらにプラトーノフからすすめられた琥珀の吸口つきのパイプや、彼がヤルブのまるまるとした鼻面へふっかけた煙や、ヤルブのふくれ面や、「もういいじゃないの、そんなにいじめなくたって」と言ってはにっこりする美しい主婦の笑顔や、……。

p282 ところで一方、裁判所や控訴院では事件は果てしなくひろがってしまった。書記たちのペンはさかんに走り、この道に練達の士たちは煙草を嗅ぎ、自分の金釘流の字句に画家のように身とれながらしきりに心をくだいていた。

(´ー`)y―┛~~
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