先日の酔い覚ましのお絵描きは、献血車両に描いてあった「けんけつ」くんです。献血大好きの私ですが、数年前からの糖尿病治療により、薬をのんでいること、および「元気のない血液」であるらしく、献血車でお断りされてから献血をしていません。とても残念です。
【23ページ】
池上 マルクスは革命でひっくり返さなければいけないと考えたのですが、ピケティ氏はやはりどこかで人間の理性を信じていて、「民主主義によってそれを押さえなければいけないんだ」と、そういう言い方をしていました。
【26ページ】
佐藤 ピケティ氏について私が問題だと思うのは、自分の力で変えるという発想が少ないところ。今後も税金を徴収することで、国家に再分配してもらう・国家にお願いする、という発想です。それはある種のエリート主義で、代表制なんです。
だからこれは対話的な理性を強調するユルゲ・ハーバマスと一緒で、外部の世界がないということです。
[ken] 私は若い頃、活動家として「自分の力で変える」「社会変革の一翼を担う」という発想を堅持していましたが、いつの間にか「それは無理!」と考えてしまったようです。残念ながら現代では、それを「転向」とは呼びませんし、思想的な堕落ということですらありません。労働組合運動に身をおいてきた経験、まだ仕事を続けている身としては複雑な想いもあります。完全リタイアまでに2年余ありますので、心の棚卸しをしつつ再考していきたいですね。(つづく)
池上 マルクスは革命でひっくり返さなければいけないと考えたのですが、ピケティ氏はやはりどこかで人間の理性を信じていて、「民主主義によってそれを押さえなければいけないんだ」と、そういう言い方をしていました。
【26ページ】
佐藤 ピケティ氏について私が問題だと思うのは、自分の力で変えるという発想が少ないところ。今後も税金を徴収することで、国家に再分配してもらう・国家にお願いする、という発想です。それはある種のエリート主義で、代表制なんです。
だからこれは対話的な理性を強調するユルゲ・ハーバマスと一緒で、外部の世界がないということです。
[ken] 私は若い頃、活動家として「自分の力で変える」「社会変革の一翼を担う」という発想を堅持していましたが、いつの間にか「それは無理!」と考えてしまったようです。残念ながら現代では、それを「転向」とは呼びませんし、思想的な堕落ということですらありません。労働組合運動に身をおいてきた経験、まだ仕事を続けている身としては複雑な想いもあります。完全リタイアまでに2年余ありますので、心の棚卸しをしつつ再考していきたいですね。(つづく)
【10ページ】
池上 日本でも水野和夫さんの『資本主義の終焉と歴史の危機』(集英社新書)が話題になりました。長期のゼロ金利が示すのは、資本を投資しても利潤の出ない資本主義の「死」であり、日本はその最終局面にいち早く立っている、という本です。
【15ページ】
佐藤 ちなみに、共産党は企業の内部留保が多くなれば賃金が上がると考えています。だから共産党と関係の深い全労連(全国労働組合総連合)は、「企業の内部留保が増えているのだから、その分を賃上げに回せ」と言った。しかし、内部留保というのは、企業が投資をして資本を増やしていくために必要なお金であって、賃金はその前の段階で決まってしまっているわけです。
しかし、安倍さんが全労連の主張に乗っかる形で経団連に賃金を上げさせた。これは実はムッソリー二と同じやり方で、イタリア・ファシズムの経済理論と同じなのです。
[ken] 水野さんが説く、「長期のゼロ金利が示すのは、資本を投資しても利潤の出ない資本主義の『死』」であることは理解できるのですが、その先を展望することは難解そのものですね。そして、15ページの「賃金論」に関わる佐藤さんの考え方は、2017春闘の時節柄、とてもホットな話題です。「官製春闘」と揶揄されている労働側が、社会的合意を得ながらどのような考え方でたたかうのか、「イタリア・ファシズム」の経済理論とは決定的に違い「主体的な力」を発揮していただきたい、と期待しています。(つづく)
池上 日本でも水野和夫さんの『資本主義の終焉と歴史の危機』(集英社新書)が話題になりました。長期のゼロ金利が示すのは、資本を投資しても利潤の出ない資本主義の「死」であり、日本はその最終局面にいち早く立っている、という本です。
【15ページ】
佐藤 ちなみに、共産党は企業の内部留保が多くなれば賃金が上がると考えています。だから共産党と関係の深い全労連(全国労働組合総連合)は、「企業の内部留保が増えているのだから、その分を賃上げに回せ」と言った。しかし、内部留保というのは、企業が投資をして資本を増やしていくために必要なお金であって、賃金はその前の段階で決まってしまっているわけです。
しかし、安倍さんが全労連の主張に乗っかる形で経団連に賃金を上げさせた。これは実はムッソリー二と同じやり方で、イタリア・ファシズムの経済理論と同じなのです。
[ken] 水野さんが説く、「長期のゼロ金利が示すのは、資本を投資しても利潤の出ない資本主義の『死』」であることは理解できるのですが、その先を展望することは難解そのものですね。そして、15ページの「賃金論」に関わる佐藤さんの考え方は、2017春闘の時節柄、とてもホットな話題です。「官製春闘」と揶揄されている労働側が、社会的合意を得ながらどのような考え方でたたかうのか、「イタリア・ファシズム」の経済理論とは決定的に違い「主体的な力」を発揮していただきたい、と期待しています。(つづく)
先日、『希望の資本論』(池上彰・佐藤優共著、朝日新聞社、2015年3月31日発行)を読み終えました。今回も抜き書き帳を作成し、若干のコメントを付けてみましたので、ご参照いただければ幸いです。
【1ページ】はじめに(池上)
資本主義は勝利した。多くの人がそう思ったのですが、社会主義と魅力争いをしてきた資本主義は、ライバルの社会主義が消滅した途端、厚化粧することを止め、にわかに醜悪な側面を見せ始めました。
社会主義が力を持っていると、いつ労働者は革命を起こすかもしれない。それを恐れた資本主義国では、社会保障や社会福祉に力を入れ格差の是正にも努めてきました。これが、厚化粧です。
【2ページ】
とりわけ教育格差の進展は、過去の資本主義経済を支えてきた良質な労働力を再生産できなくしています。基本的な漢字すら読めない若者たちが再生産されているのです。これでは、資本主義経済発展のために働ける労働者にはなりえません。
資本主義の発展それ自体が、資本主義の墓掘り人を生み出す。マルクスの予言通りのことが起きつつあるようにも見えます。
【3ページ】
難解な書物と格闘する。その経験があって初めて人は、論理的な思考力を得るのです。これこそが、最近流行の反知性主義の毒に対する解毒剤あるいは予防薬になるのです。
というわけで、佐藤氏と『資本論』をめぐる対談と相成りました。
[ken] 1ページの社会主義の消滅によって「資本主義は厚化粧することを止め、にわかに醜悪な側面を見せ始め」という表現は、池上さんらしい簡易で分かりやすいと感心させられました。また、子どもたちや若者の学力低下については、大学の先生をしている友人も以前から嘆いていましたが、先日、28歳になった息子も「自分よりちょっと下の男女になると、かなりひどい。びっくりする」と言っていたほど、かなり深刻な問題になっていると思います。3ページの難解な書物との格闘については、幸い私の場合、高校生の頃から続けてきたことなのでよくわかりますが、正直なところ、周囲の人たちに勧めるまでの気力はありません。(つづく)
【1ページ】はじめに(池上)
資本主義は勝利した。多くの人がそう思ったのですが、社会主義と魅力争いをしてきた資本主義は、ライバルの社会主義が消滅した途端、厚化粧することを止め、にわかに醜悪な側面を見せ始めました。
社会主義が力を持っていると、いつ労働者は革命を起こすかもしれない。それを恐れた資本主義国では、社会保障や社会福祉に力を入れ格差の是正にも努めてきました。これが、厚化粧です。
【2ページ】
とりわけ教育格差の進展は、過去の資本主義経済を支えてきた良質な労働力を再生産できなくしています。基本的な漢字すら読めない若者たちが再生産されているのです。これでは、資本主義経済発展のために働ける労働者にはなりえません。
資本主義の発展それ自体が、資本主義の墓掘り人を生み出す。マルクスの予言通りのことが起きつつあるようにも見えます。
【3ページ】
難解な書物と格闘する。その経験があって初めて人は、論理的な思考力を得るのです。これこそが、最近流行の反知性主義の毒に対する解毒剤あるいは予防薬になるのです。
というわけで、佐藤氏と『資本論』をめぐる対談と相成りました。
[ken] 1ページの社会主義の消滅によって「資本主義は厚化粧することを止め、にわかに醜悪な側面を見せ始め」という表現は、池上さんらしい簡易で分かりやすいと感心させられました。また、子どもたちや若者の学力低下については、大学の先生をしている友人も以前から嘆いていましたが、先日、28歳になった息子も「自分よりちょっと下の男女になると、かなりひどい。びっくりする」と言っていたほど、かなり深刻な問題になっていると思います。3ページの難解な書物との格闘については、幸い私の場合、高校生の頃から続けてきたことなのでよくわかりますが、正直なところ、周囲の人たちに勧めるまでの気力はありません。(つづく)
▶︎すごいテレビ番組があるものですね。カミさん推奨のNHK「洞窟おじさん」を期待しないで見てみましたが、スタートからグイグイ引き込まれてしまいました。前半の井上順さん扮する老農と奥さん、とても渋くて涙を誘われました。
There are some amazing TV shows out there. I watched NHK's "Cave Uncle," which was recommended by my wife, with no expectations, but I was drawn in from the start. The old farmer and his wife played by Jun Inoue in the first half of the movie were so reluctant that it brought tears to my eyes.
▶︎短い言葉でしたが、一人息子の戦死に対するつぶやきは、どんな反戦思想をも凌駕していました。
It was a short statement, but his musings on the death of his only son in battle surpassed any anti-war ideology.
▶︎後半では、死に場所まで連れて行ってくれた運転手が、「死ぬなら一服すればいいよ」と、今はないたばこのブランド「欄」(10本入り小箱)を差し出すシーンに心うたれました。
In the second half of, I was struck by a scene in which the driver who took me to the place of death offered me a "column" (a small box of 10 cigarettes), a brand of cigarettes that is no longer available, saying, "If you are going to die, just have a smoke.