前福井県議会議員 さとう正雄 福井県政に喝!

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「末期戦中派の風来記」、土井大助著

2009年06月23日 | Weblog
「末期戦中派の風来記」、土井大助著、本の泉社刊。詩人、土井大助の自分史。

青春時代に土井の詩はよく読んだ。民主青年同盟発行の機関紙誌によく載ったからだと思う。
その時代に1度だけ、核兵器廃絶をテーマにした詩をつくり、民主青年同盟主催の「青年文化コンクール」で入選し、3万円もらった。なにか買った記憶はないから、仲間との飲み食いで消えたのだろう。全国的な集会でその詩が朗読されたり、他県の仲間から「詩人 佐藤」と言われたりで面映かった。
   「ヤングジャンプ」という企画で、詩人の滝いく子さんにきていただいて福井県社会福祉センターで講演してもらったことがある。終了後、駅前の安い寿司屋で滝さんを囲んで寿司を食べた。現勝山市会議員の山田安信さんや、現共産党常任委員の谷口英子さんたちと。滝さんは、「福井は若い人たちが元気でいいわね」「おいしい、おいしい」を連発して青年との交流を楽しまれていた。その時、自身が審査員をつとめ入選させた詩の作者が私だと知り、「あなたが書いたの。ばんばんに1番をつけたのよ」と仰ってくださった。
   青春の1ページ。

          ★

  さて、土井さんの本。名前の懐かしさもあって手にとったが、内容は濃密、ハード。中国の文化大革命時代のなまなましいたたかいや、民主主義文学同盟内のやりとりもリアル。

1951年、「劇団まりざ」の一員として、武生10ヶ所余、敦賀2ヶ所で「シンデレラ」「裸の王様」の学校公演。なぜ、最初の公演地が福井県なのか。なにか当時の武生に引きがあったのか。

1968年。小林多喜二「蟹工船」原稿の発見のくだりもなまなましい。全180枚中前半の91枚。多喜二虐殺直後、阿佐ヶ谷の古書店に作者の写真も添えて5円ででていたのを買ったもの。そのまま放置されていたのを家の増築の際にその息子さんが見つけた。当時、小林多喜二全集が刊行中で、編纂作業をしていた壺井繁治に届けられた。
多喜二の母が大事な原稿を古書店にだすはずはなく、どういう経緯で虐殺後、売られたのか。
しかし、歴史の光にふたたびあてられたのは幸運だ。


   じっくり読めば、ぷーんと歴史のにおいがしてくる、くんくんと嗅ぎたくなる本だ。