物部の森

日常感じたこと、趣味のこと、仕事のこと・・・等々
日記風に書いてます。

【書籍】知的生活の方法(音楽篇)

2010年05月28日 | Weblog
 父親で上智大学名誉教授の昇一氏と、息子で音楽家の玄一氏がリレー形式で交互にエッセイを綴る。
 本書を読んで初めて知ったのだが、渡部家は昇一氏以外、奥さんと二人の息子はみな音楽家である。最初の方は昇一氏の幼少の時の音楽体験や、一家がドイツで過ごしていた時の話などが中心。タイトルの「知的生活」とは少し違うな、と思いながら読み進めていたが、後半は、音楽をどのように生活に取り入れるか、クラシックの脳に対する影響など、主題に沿った論が展開され、興味深い内容になっていく。
 高校のときの音楽のI先生が教えてくれた言葉を今でも覚えている。「クラシック音楽のコンサートで眠るのは悪いことではない。むしろ最高に贅沢な眠りなのだ」ということを言われ、それ以来クラシックのコンサート(そもそもあまり行かないのだが)では気にせず寝るようにしているのだが、それと同じようなことが書いてあったのには驚いた。
 ただ、全編クラシック音楽礼賛な論調は、少し気になる。確かに現代音楽であるポップスにしろジャズにしろ、すべてクラシックの旋律や楽器が源流なのは理解できるが、西洋音楽の流れとは異なる民族音楽でも素晴らしいものはたくさんある。クラシックが特段格調高いものとは思わない。私にとっては、あくまで色々な音楽の中の一つである。
 「朝食にはモーツァルト、夕食にはバッハ」も結構だが、ボブ・ディランやルー・リードを聴きながら思索にふけるのも十分知的だと思うけど。
コメント
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