ベトナム小説というものを初めて読んでみた。
北部の高山都市、Sapaからハノイへの12時間の列車の旅の中で。
著者、マー・ヴァン・カーンは「初めに」で
「外国侵略者や自然との闘いは、民族の生存と発展をかけた闘いとして、
ベトナムの歴史とは切っても切り離せないものです」
と書いている。1970年代後半にベトナム北部を襲ったという、大洪水で、
治水技師の若者を主人公に、自然だけじゃなく、社会主義の退廃の中で
邪魔をし合う同僚や友人たちに阻まれながら、水害から地域を守ろう
とする姿を描く。
水害との対決が、ベトナムにとってひとつのアイデンティティー
になっている、と言ったら大げさだろうが、北部の紅河、南部のメコン川が、
人口比率でかなりを占める居住地であり、しかも流れる距離も長く、
その堤防を築くことでなんとか人が住めるようになったという環境だという
ことを改めて認識することになった。
(日本にしたって、治水が、上流地域と下流地域が連携しなければならない
問題としてあって、地方自治に大きな影響を与えたはずだ)
当時を覆っていた陰湿な空気も・・・。とりあえず、著者からすれば、
1970年代後半には社会主義は終わりに来ていて、良心をもって信じるもの(主人公たち)が
損をするという仕組みに見えたようだ。
冒頭から、シロアリ家族の堤防を蝕む様子が描かれる、いたって地味な
内容なのだけど、「勉強」と思って読めば面白かったです。
北部の高山都市、Sapaからハノイへの12時間の列車の旅の中で。
著者、マー・ヴァン・カーンは「初めに」で
「外国侵略者や自然との闘いは、民族の生存と発展をかけた闘いとして、
ベトナムの歴史とは切っても切り離せないものです」
と書いている。1970年代後半にベトナム北部を襲ったという、大洪水で、
治水技師の若者を主人公に、自然だけじゃなく、社会主義の退廃の中で
邪魔をし合う同僚や友人たちに阻まれながら、水害から地域を守ろう
とする姿を描く。
水害との対決が、ベトナムにとってひとつのアイデンティティー
になっている、と言ったら大げさだろうが、北部の紅河、南部のメコン川が、
人口比率でかなりを占める居住地であり、しかも流れる距離も長く、
その堤防を築くことでなんとか人が住めるようになったという環境だという
ことを改めて認識することになった。
(日本にしたって、治水が、上流地域と下流地域が連携しなければならない
問題としてあって、地方自治に大きな影響を与えたはずだ)
当時を覆っていた陰湿な空気も・・・。とりあえず、著者からすれば、
1970年代後半には社会主義は終わりに来ていて、良心をもって信じるもの(主人公たち)が
損をするという仕組みに見えたようだ。
冒頭から、シロアリ家族の堤防を蝕む様子が描かれる、いたって地味な
内容なのだけど、「勉強」と思って読めば面白かったです。