ほっぷ すてっぷ

精神保健福祉士、元新聞記者。福祉仕事と育児で「兼業」中。名古屋在住の転勤族。

「君の涙、ドナウに流れ」

2008-08-29 00:17:41 | Movie

戦後のハンガリーで、親ソ連政権に対して民衆蜂起が起こった1956年。
裏半球ではオリンピックメルボルン大会の、水球準決勝で、
ハンガリー対ソ連が戦っていた。
これを題材にした映画が、『君の涙、ドナウに流れ』である。

製作者の意図とは違うだろうけど、
「水球ってすごい」と思った。面白いじゃないか、そしてめちゃかっこいい。
ありえない上半身の動きで、ボールを操る。
思わず、高校時代の水球部の男の子を思い出した。
あだ名はマッソだった・・・彼は今どこで生きてるんだろう。

映画の公開最終日に有楽町にかけつけ、「満席です」と断られた
いわくつきの映画。
DVDで見れてよかった。
そろそろ映画、再開します。


最近ちょっといいなと思った記事。
100歳を迎える現役考古学者、斎藤忠さん。
http://mainichi.jp/enta/art/news/20080818ddm014070013000c.html

以下、出だしを引用。

今年3月、長年務めていた静岡県埋蔵文化財調査研究所長を退任した。
 「もう少し、毎日、家で仕事をする時間がほしかったのでやめました」
 毎朝4時に起き、4時半から仕事をする。午後も研究に当てている。
 そこまで夢中になってしまう考古学の役割について、まず尋ねてみた。
 「単に今の新しい日本ではなく、昔からの人々の生活をちゃんと分かってもらうのは大事なこと。昔をわかったうえで将来を考えなくちゃいけません。考古学は単なる数寄でなく、大変な仕事だと思いますよ」


こういうの、ひとつの理想かもしれない、インタビューを読む限り。
さて、あっという間に休日終わりーー


旅はいつ終わる?

2008-08-25 10:45:02 | Private・雑感

朝から、空手大会と書道展と野球大会の取材。
その後夜に、花火大会の写真を撮りに、と忙しかった日曜日。

「習い事」に一生懸命な子供たち、とその応援で休みの日を満喫する
お父さんお母さんを見て。

「こんな人生もあるのか」と思わなくもない。
息子が出来たら、野球をやりたいといったら、日焼け対策して
スタンドに駆けつけるんだろうか
―――と母親気分を想像してみる一方、

こいつらにはまだ負けないかな~ピッチャーを本気でやったら
やっぱりストライク入らないのかな~
―――とけっこう子供気分にもまだ感情移入が可能だったり。

そんな自分にちょっとびっくりです。


今の毎日は、半分旅気分。
ふらりふらりとその場を楽しんで(というほど楽じゃないが)、
蓄積や成果をそこまで気にせずに時間をすごしている。
それが不安でバカバカしくなってくる、一日に一度くらいは。
でもま、そんな仕事でも一人前に出来ないのは
しゃくだからやってみる。
頭はバカにならないように、他分野の記事をスクラップする。
そんな感じです。

夜、ブランケットがないと寒くなってきた。
いつまでも夏、という国でなくて良かった。
四季があるって精神衛生上素晴らしいと思います。

NEWS

2008-08-24 00:44:48 | Private・雑感

「あまりにも公共、行政に携わる人ばかりに会って話を聞くので、
 つまり日本で多くの割合を占めると思っていた「会社員」みたいな
 人に会わなすぎて、
 常識とか感覚がおかしくなってしまうんじゃないかと不安ですね」

と先輩と話していた。その分野以外、経済とか労働とかが手薄じゃないですか?
という批判を少しこめて。

「うーん、やっぱり公権力とか、大きな企業の権力者とかじゃないと
 動いてもニュースにならないもんねぇ」

日付が入るようなNEWSについて言えば、そうですよね、という感じ。


そんなことを考えていて持ったのは、
「問題は忙しい人たちから生えてきて、ニュースは暇な人たちから降ってくる」
ということ。
おじいちゃんおばあちゃん、夏休み中の子供、なんとか教室に集まるお母さんたち。
そんな人たちばかりを相手にしていたら、
今まで、東京に通う学生として偏っていたと思われるその度合い以上に、
暇な人たちに偏っていきそう。

『リピーター医師―――なぜミスを繰り返すのか?』/貞友義典

2008-08-23 09:18:08 | Book

医師が医療ミスをしても、それを彼らが自ら公表する義務はない。
医療というサービスは、どんな治療にもリスクがあり、結果が不確実だ―――
といっても、全ての治療が同じくらいリスクがあり、不確実と言うわけではない。
初歩的な、例えば胎児の状態を見る機器の、データの読み方とかでの
ミスを、繰り返す医師もいる。
そして彼らは、同じようなミスを繰り返し、胎児や妊婦の命を奪っている―――

このようなメッセージを、もう少し感情的に、具体的に、訴訟プロセスを
紹介しながら書いている本。
医療訴訟を主に手がける弁護士。
個人的ネットワークから、「この訴訟しようとしている相手は、他の依頼主と同じだ」
といった感覚で「リピーター医師」の存在を知ったと言う。

彼の主張では、なぜリピーター医師がいるのか、という問いに
・「医師賠償責任保険」によって、医師は年間5万1千円ほどの保険料で、
 訴訟、賠償にかかる費用を1億円まで保証してくれる

・(刑事裁判でなく)民事裁判で被害患者と医師が争ったときは、
 被害患者が勝訴しても行政処分(医師免許剥奪など)にはならない
 →2003年の「厚生労働大臣医療事故緊急対策アピール」で、行政処分の対象になる方針を発表、
  しかし実際は、(医道審議会などの検討を見ると)民事裁判の争点などを
  行政処分の基準に照らし合わせるのは困難、なかなか出来ない、というような具合らしい

・医師は、国家試験で医師免許を取得しても、その後の研修義務はなく、
 免許更新などのシステムもないため勉強しなくてもいい

・現在、カルテの改ざんは刑法上の罪(文書偽造罪)にはあたらない。
 証拠の隠蔽などが簡単に行える状態

といったことを挙げている。

要は、患者が医師を信用して身体を切られたり薬を投与されたりということを
出来ない状況がある。医師の、医療の質の保証を、ということだ。

そしてこの思いに至った、いくつもの事件を詳細に列挙し、「裁判」で
どのような手続きを踏み、裁判上には医療訴訟がどのような問題があるかを訴える。

本の感想は・・・


まず、以上のような訴訟は、大半が産科への訴訟であり、そこで行われるのは
「治療」とはあまり思われない。たとえば「介助」というような感じ。
だから患者側のリスクや不確実性などの意識が低い。
あと、決定的なのは、お産による「もたらされるべき幸福感」だと思う。
妊娠は病気ではなく、お産は治療ではない。
その後に待っているのは、苦痛からの解放とか安心感ではなく、幸せな家庭、とか
そういうものなのだ。
だから、それが阻害されたときの「なぜ(私たちだけが)!?」という思いは強い。

紹介されている2、3件の「リピーター医師」の様子は確かに目を覆いたくなるもの。
ドイツやフランスでは、日本の医師会に当たるような、職業団体(強制加入)が
行政処分に当たるような、自浄機能をもっているらしいが、
日本の医師会は強制加入でもなく、ミス後の指導や研修体制もない。

だから・・・
私は、訴訟ではなく医師団体の中での処罰みたいなものが機能すべきだと思う。
「過去のミスを公表しろ」と著者は言うが、それでは
それこそ、リスクの高い治療をする医者はいなくなるだろう。

あとは、産科に限って言えば、出産期の高齢化が本当にリスクの高い出産を増やしているのだと思う。
何人も産めるわけでもなく、「ようやく授かった」子供、というケースも多くなる。
だからといって、女性の出産時期が今後早くなるだろうか、といったら難しい。
そこでは、昨日厚労相が発表した、「産前の定期健診」に対する全額補助なんかは
正攻法的な施策だろう。


にしても、「赤ちゃん」と連呼するのは、他の専門用語が並ぶ中で違和感があった。
ですます調の文体にも・・・。非常に感情的な印象。
それでも、(仕事に関係なかったとしても)読んで損はない本。