ほっぷ すてっぷ

精神保健福祉士、元新聞記者。福祉仕事と育児で「兼業」中。名古屋在住の転勤族。

特別支援学校というところを垣間見て

2014-11-30 21:19:37 | Private・雑感

岐阜県立大垣特別支援学校の文化祭に行ってきました。

この類の学校に足を踏み入れたのは、たぶん初めて。授業の一環でつくっているたくさんの商品(陶器、ポーチなどの布製品、メモ帳などの手すき紙製品、野菜、木工品、キーホールダーなどの雑貨などなど)をたくさん買いましたが、正直、「この業界」に初めての人にはかなり不親切な文化祭でした。いや、生徒さんや先生たちは親切そうでしたよ。不親切というのは、特別支援学校がどういうところなのか、どういう授業や支援がされているのか、どういう歴史があるのか、寄宿舎にはどういう人が入っているのか、といった紹介がまったくないこと。

思い返してみれば、自分が高校生の時の文化祭でも、そんな紹介しなかった。授業や進路について。でも、特別支援学校には絶対必要。「業界用語」だらけで、「?」ばかりが並ぶのだもの。

例えば、高等部の教室にある時間割は、1時間目「日生」2時間目「自立」3,4時間目「作業」5時間目「体育」6時間目「生活」。「日生」は「日常生活」かな?と推測してみるものの、「素人」には日常生活、自立、生活、の違いが分からない。そしてほぼ毎日この時間割。(「体育」が「美術」のときがあったりはする)。教員らしきし人に話を聞いて初めて知ったのだが、大垣特別支援学校(大垣特支)は知的障害の児童生徒を受け入れる学校(小学部から高等部まで)なのだが、「ほかの特支も同じような時間割なの?特徴があるの?」などの質問も浮かぶ。

また、違和感があったのは、肢体不自由と知的障害が重複しているような(脳性まひなどの)子どもが入る学級が「自立4組」などとなぜか「自立」と前についているのだ。入っている子は、車いすを降りて生活できないような重度の子たち。子ども2人に教師が2人、というようなクラス。どーして「自立」を使うの?だいたい、小学1年生から「自立」などと意識させなければいけないものだろうか?

おそらく文化祭は、これまで数学や国語の代わりにたくさんの時間を使って覚えてきて、続けてきた作業によってできた商品を、親を含めた学校外の人に向けて誇る場所なのではないか。そうだとしたら、私のような素人が足を運ぶようなPR、そして「?」が解消されることにより理解が深まるような仕掛けが必要だと思う。


障害者の就労継続支援B型のお昼ご飯は「給食」?

2014-11-29 14:07:35 | Private・雑感

昨日、久しぶりに怒られた。

お昼休みの時間、うっかり、ほかの人よりも先にお茶を飲んでしまったのだ。「ほかの人もそんなことせずに待ってるでしょ、やめてやめて」と食事を作る係りのスタッフに言われてドキッとした。まずいまずい。・・・でもなぜまずいのか?

就労継続支援B型とは

現在働いているNPO法人(間もなく社会福祉法人に移行する)では、社会的養護の仕事をする予定ではあるが、研修として1月末くらいまで、法人内の各部署で仕事をさせてもらっている。最初の部署が、障害者のための「就労継続支援B型」の事業所。障害の程度がある程度重く、または年齢が高いなどで、通常の企業で働くのは難しいが、「就労機会の提供を通して生産活動に係る知識及び能力の向上や維持が期待される人」のための場所である。

脳性まひなどで車いすの人、知的障害があり眼光の鋭い人、幼い人、精神障害でイライラしやすい人。みな障害者であり、就労継続支援A型(最低賃金を保障するような、ある程度「稼げる」人のための事業所)は難しい人たちではあるが、どこの企業よりもよっぽど多様な人たちである。障害の内容だけでなく、年齢も、性格も。

やっているのは、おそらく利益率がよい順に、ベルギーワッフルやクッキーの製造・販売、焼き芋の販売(そのための芋洗い、芋焼き)、紙袋の底入れ(一定個数ずつ束ねて段ボール詰め)、百円均一で売られる刺繍糸の袋入れ、出張清掃(主に法人内の他事業所)、ペットボトルキャップの仕分け、糸の塊を捨てやすいようにほぐして捨てる「糸ほぐし」、、。ほかにも確かあります。多様な人がいるので、仕事も多様です。それなりに稼がなければ「お給料」(労働契約ではないので最賃以下、月1万円~2万円ほど)も払えません。

職場としての1番の難しさ

この場所では週3日×3週間の研修の予定。短期間でもあり、スタッフさんにもよくしてもらいながらで文句などない。でも1つしんどいのは、お昼ご飯。少ししんどく感じていることを気づかせてくれたのも、怒られたから、かもしれない。

社員さん(障害があってこの事業所を利用している人をそう呼ぶ)の多くは、事業所で作っているランチを食べる。昼休みの時間はみな12時からなので、一緒に「いただきます」は分かる。でも、「ごちそうさま」を合わせる必要はあるだろうか?12時半を目安にみんなで「ごちそうさま」とするのだが、正直、ほとんどの社員さんは手持無沙汰でその一言を待つ。隣の人と会話がないわけではないし、会話が弾んでいるところもないわけではないが、そうではない人が多い。職員もちらばって座ることが多く、社員さんに話しかけ続けるのも限界(不自然)なので、無理しない程度に声掛けするといった感じ。学校ではないのだから、みんなで「ごちそうさま」をやらなければいけないのだろうか?

通常の職場であれば、それはないだろう。学校では、基本的には一緒に言うだろう。ここは、どちらなのか?

職員にそれとなく聞いてみたところ、「就労継続支援B型は、終わりのあいさつまでしっかり学ぶところなのだ」という理念があって、一緒に12時半を待っているわけではない。ばらばらに終わると、その後時間をつぶすであろう1階の事務所を早く開けるか開けっ放しにしなくてはいけなくなる、、というのが一番の理由のようだ。

自由は奪われて初めてその大きさに気づくもの(笑)。食事の終わりも自分で決められず、実際、そのあとの残り時間も見守りを兼ねていると自由に新聞を広げたりはできない。コーヒーを飲んだり、チョコレートを食べたりというのも、別に禁止されているわけではないが、甘いものを控えさせられている社員さんが多いのを知っているので、気が引けてできない。この不自由感が、少し堪えてきた。

体調管理は知的に難しいもの

妙に真面目にお昼ご飯のことを書いたが、ついでにふと思ったことを。知的障害者の人は、太った人が多い。ひょろっと細くて背中の曲がった人(主に男性に多い)もいるが、知的障害者の7割くらいは肥満体系ではないか。1割くらいは、食事制限が必要なくらいの太さ。

ふっくらと健康そうで顔色もよい、という人はほとんどいない。健康管理――食事、運動、体温調節など――というのは、結構技術的に難しい、知的レベルの高い行為なのだと思う。そうやって書きながらふと思いついたのだが、巷で出ている健康管理アプリを知的障害者の人にも、たとえば幼少期から習慣づけて利用してもらうのはどうだろう。「1日6000歩歩く」「気温に合わせて着る洋服の目安を表示」「1日水筒の3倍くらいは水分を取る」「野菜のおかずをカウント」などなどを盛り込む。昔、認知症のお年寄りの生活にICレコーダー付きアラームを取り入れ、「起きて」「ごみ出ししましょう」「カギは持ちましたか」などと時間になると声を聞くことで質を改善する取り組みを取材したことがあるが、それにヒントを得て。

そうはいいながら、正直今のところ、社員さんをどういう方向で支援していくのか、ということとが私には分からない。まだ通い始めてから2週間しか経っていないからだろうけど、もしかするとスタッフさんは忙しすぎて、そういう原点に立ち返る機会がないのかもしれないとも思う。最後に聞いてみたい。

 


身近にあったブラック企業

2014-11-26 05:57:14 | Private・雑感

転職して1週間が経ちました。

ただ、退職日の1月前から、今の職場に週に2日、午後4-6時にボランティアに行っていたし、最後の有休消化中も半分以上はフルタイムでボランティアに行っていたので、もうひと月くらいは経っている感じ。前職は遠くになりにけり、です。転職して、毎朝「仕事に行きたくない~」と言いながら用意して行く、という苦痛から解放され、心から楽しんでいます。

転職の経緯

仕事自体は、時々ブログでも書いていたように、産休育休に入る前から正直飽きていました。書く仕事に。書くだけの仕事に。東京で医療介護を中心に仕事をしてみて、知的欲求は満たされたし、自分の実力もなんとなく分かった(私レベルでもけっこう健闘したと思う)。大学の指導教授の下にも戻れた(?)し、インタビューなど一緒に仕事をする機会も作ることができ、大学院生の延長としての記者の仕事はひとまずけりをつけることができたと思う。

こういう心境の変化に加えて、産休育休後に復帰した会社のブラック企業ぶりに力強く背中を押されたこともあります。

・育休中の5月に、給料日の前日に回覧された「紙」によって、給料水準の長期的引き下げ告知→翌日実行
 給料は基本給+職務給で、基本給:年齢連動、職務給:実績連動(0~6万円程度の幅で)でしたが、 
 急に、基本給:実績連動、職務給:固定、となる。しかも実績連動は、前期(2013年10月-2014年3月)の目標に対し
 100%の達成でステイ、それより低ければ3万円下がるというもの。以前は、100%達成で10段階中6くらいのプラス評価だった(当然)。
 前期、業績が悪かったこともあり(だからこういう強硬手段に出たわけですが)、従業員の9割は3万円引き下げに。
 しかも基本給が下がるので、次の半期はこのマイナス3万円スタートになります。

・以上の賃金改定を定めた就業規則の変更を、従業員の同意なく強行、後日労働者代表から意見を聴くというメールを流すも
 実質的には機能しておらず、「意見」の公開もない
 労働組合のない会社でも、「従業員の過半数代表」に就業規則の変更について意見を聴き、労働基準監督署に提出する必要があるが、
 就業規則を強行変更したあともなされず、また新賃金表もサイボウズ上で更新されない

・本社、各支社に監視カメラ設置
 冗談かと思いましたが、法人営業の人は毎日午前10時―17時はパソコンを使えなくして強制的に外回りをさせ、
 個人を担当する人も週に2日、記者も週に1日は同様のパソコン制限を実施。その延長で?なのか知りませんが、
 玄関口にではなく、フロアの中心部、従業員を眺める位置に監視カメラを設置(その告知も説明も全くない)

・社用携帯にGPS機能搭載
 育休後に社用携帯がガラケーからiphoneに変わり、その際にGPS機能のアプリが入れられた。告知も説明もなし。

・・・

産休前から少しそのケはありましたが(裁量労働制からフレックス制に急に変えようとするなど)、悪意があるとは断定しにくいものでした。それが。冗談ですか?というレベルのブラックぶり。これらが明らかになる、支社間で情報共有されるたびに「この会社最低だね~」という話になり、一度は真っ向から労働基準法違反、労働契約法違反で労基署などに訴えようかと思ったり、労働組合が作れないか模索したりもしましたが、ベースにはやる気のなさがあるので、粛々と退職の準備をしたのでした。

今は、転職そのものに満足していることもあり、育休後にすんなりと電車(新幹線)で10分の名古屋支社で仕事復帰ができ、本社から離れて会社を見て、また東京にはいない類の人たちに取材もでき、悪くない5か月間だったと思います。 

 


私が最後に言いたかったことは・・・

2014-11-04 21:01:48 | Private・雑感

今の会社での最後の記事、ではなくメルマガの編集後記。我ながら、軽い!
でもなんか、すっきりだ。 

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 人間を2種類に分けるなら、あなたは何で分けますか?
男と女、子どもと大人、お酒を飲む人、飲まない人…。
私は、巨人ファンとアンチ巨人ファンに分けたい。その
中間にいるであろう野球に無関心な人はひとまずおいておく。
 私はと言えば、当然アンチ巨人。生粋の大阪人で阪神
ファンである母の元で育った影響もあるが、性格もそう
なのだ。お金があり、ドームがあり、強い選手を引き抜く
ことができる。「そんな巨人が勝って何が面白いのだ」と、
アンチ巨人ファンは思う。
 アンチ巨人とはつまり、予定調和を心底嫌う人たちなのだ。
そんな人間からすると、今年の日本人のノーベル賞も、東大
ではなく名大の出身者が受賞し、非常に胸のすくものだった。
東京が何でも一番ではつまらない。
 ひがみ根性とも取れるこの気持ちを分かってくれるかどうか
が、私にとって「こっち側」と「あっち側」の境目だ。私が
子どものころには万年最下位だった阪神も、今年は予想を
裏切っての日本シリーズ出場。予定調和を打ち破り、世の中
を少しは面白くしながら生きていきたいと思う。