昨日、久しぶりに怒られた。
お昼休みの時間、うっかり、ほかの人よりも先にお茶を飲んでしまったのだ。「ほかの人もそんなことせずに待ってるでしょ、やめてやめて」と食事を作る係りのスタッフに言われてドキッとした。まずいまずい。・・・でもなぜまずいのか?
就労継続支援B型とは
現在働いているNPO法人(間もなく社会福祉法人に移行する)では、社会的養護の仕事をする予定ではあるが、研修として1月末くらいまで、法人内の各部署で仕事をさせてもらっている。最初の部署が、障害者のための「就労継続支援B型」の事業所。障害の程度がある程度重く、または年齢が高いなどで、通常の企業で働くのは難しいが、「就労機会の提供を通して生産活動に係る知識及び能力の向上や維持が期待される人」のための場所である。
脳性まひなどで車いすの人、知的障害があり眼光の鋭い人、幼い人、精神障害でイライラしやすい人。みな障害者であり、就労継続支援A型(最低賃金を保障するような、ある程度「稼げる」人のための事業所)は難しい人たちではあるが、どこの企業よりもよっぽど多様な人たちである。障害の内容だけでなく、年齢も、性格も。
やっているのは、おそらく利益率がよい順に、ベルギーワッフルやクッキーの製造・販売、焼き芋の販売(そのための芋洗い、芋焼き)、紙袋の底入れ(一定個数ずつ束ねて段ボール詰め)、百円均一で売られる刺繍糸の袋入れ、出張清掃(主に法人内の他事業所)、ペットボトルキャップの仕分け、糸の塊を捨てやすいようにほぐして捨てる「糸ほぐし」、、。ほかにも確かあります。多様な人がいるので、仕事も多様です。それなりに稼がなければ「お給料」(労働契約ではないので最賃以下、月1万円~2万円ほど)も払えません。
職場としての1番の難しさ
この場所では週3日×3週間の研修の予定。短期間でもあり、スタッフさんにもよくしてもらいながらで文句などない。でも1つしんどいのは、お昼ご飯。少ししんどく感じていることを気づかせてくれたのも、怒られたから、かもしれない。
社員さん(障害があってこの事業所を利用している人をそう呼ぶ)の多くは、事業所で作っているランチを食べる。昼休みの時間はみな12時からなので、一緒に「いただきます」は分かる。でも、「ごちそうさま」を合わせる必要はあるだろうか?12時半を目安にみんなで「ごちそうさま」とするのだが、正直、ほとんどの社員さんは手持無沙汰でその一言を待つ。隣の人と会話がないわけではないし、会話が弾んでいるところもないわけではないが、そうではない人が多い。職員もちらばって座ることが多く、社員さんに話しかけ続けるのも限界(不自然)なので、無理しない程度に声掛けするといった感じ。学校ではないのだから、みんなで「ごちそうさま」をやらなければいけないのだろうか?
通常の職場であれば、それはないだろう。学校では、基本的には一緒に言うだろう。ここは、どちらなのか?
職員にそれとなく聞いてみたところ、「就労継続支援B型は、終わりのあいさつまでしっかり学ぶところなのだ」という理念があって、一緒に12時半を待っているわけではない。ばらばらに終わると、その後時間をつぶすであろう1階の事務所を早く開けるか開けっ放しにしなくてはいけなくなる、、というのが一番の理由のようだ。
自由は奪われて初めてその大きさに気づくもの(笑)。食事の終わりも自分で決められず、実際、そのあとの残り時間も見守りを兼ねていると自由に新聞を広げたりはできない。コーヒーを飲んだり、チョコレートを食べたりというのも、別に禁止されているわけではないが、甘いものを控えさせられている社員さんが多いのを知っているので、気が引けてできない。この不自由感が、少し堪えてきた。
体調管理は知的に難しいもの
妙に真面目にお昼ご飯のことを書いたが、ついでにふと思ったことを。知的障害者の人は、太った人が多い。ひょろっと細くて背中の曲がった人(主に男性に多い)もいるが、知的障害者の7割くらいは肥満体系ではないか。1割くらいは、食事制限が必要なくらいの太さ。
ふっくらと健康そうで顔色もよい、という人はほとんどいない。健康管理――食事、運動、体温調節など――というのは、結構技術的に難しい、知的レベルの高い行為なのだと思う。そうやって書きながらふと思いついたのだが、巷で出ている健康管理アプリを知的障害者の人にも、たとえば幼少期から習慣づけて利用してもらうのはどうだろう。「1日6000歩歩く」「気温に合わせて着る洋服の目安を表示」「1日水筒の3倍くらいは水分を取る」「野菜のおかずをカウント」などなどを盛り込む。昔、認知症のお年寄りの生活にICレコーダー付きアラームを取り入れ、「起きて」「ごみ出ししましょう」「カギは持ちましたか」などと時間になると声を聞くことで質を改善する取り組みを取材したことがあるが、それにヒントを得て。
そうはいいながら、正直今のところ、社員さんをどういう方向で支援していくのか、ということとが私には分からない。まだ通い始めてから2週間しか経っていないからだろうけど、もしかするとスタッフさんは忙しすぎて、そういう原点に立ち返る機会がないのかもしれないとも思う。最後に聞いてみたい。