社会福祉士、精神保健福祉士の受験のため、2年間の大学生生活に入りました。といっても通信制。この2つの国家資格は、「養成校」と呼ばれる大学の指定カリキュラムをこなして卒業していないと受験資格がなく、その後試験を受けなくてはいけない。けっこう大変。とりあえず、この2つの受験資格を得るべく卒業することを第一目標に、その後は何度でも試験を受けられるので、試験合格を第二目標とします。
関心のある分野の知識整理として、ときどきブログを書きたいと思ってます。で、最初は医療観察法。
精神障害があったり、精神科に通っていたりすると、犯罪が起きて逮捕されても報道発表されないことがある。このことの法的根拠について、よく知らなかった。2005年と、割と新しくつくられた「医療観察法」という法律をもとにまとめます。
・犯罪とは
犯罪とは、刑罰に触れる行為であり、「構成要件妥当性」「違法性」「有責性」の要素を満たさなくてはいけないとされる。最初の2つは、とりあえずおいておいて、精神疾患により「有責性」を満たさない場合があるために、犯罪とならないことがある。刑法39条に、「心神喪失者」の行為は罰しない、「心身耗弱者」の行為は減軽する、とある。
・では精神障害の症状によって犯罪が引き起こされたときはどうするか
2005年以前は、イメージとしては「精神科病棟への強制入院」だった。制度としては「措置入院」。これは犯罪者にかかわらず、本人は入院の意思がなくても、そも必要性をかんがみて精神科医の判断によって入院させることができるもの。 なので、普通の精神患者がいる病棟であり、触法者がいると一般患者に害が及ぶ可能性など難があった。
・医療観察法でどうなったか
対象犯罪=「重大な他害行為」=「殺人、強盗、放火、強制わいせつ、傷害」(6大犯罪)(傷害以外は未遂も含む)
対象者=不起訴処分になった心神喪失者・心神もう弱者、心神喪失によって無罪判決が確定/心神もう弱によって刑が減軽され刑期のない者(執行猶予就き有罪判決含む)
・どのように医療観察の処分になるのか
犯罪の程度(傷害の程度など)が軽く、精神障害の病状が穏やか(と警察官が判断)→警察官が保健所長に通報→措置入院 (精神保健福祉法23条)
犯罪の程度が重い場合→警察から検察へ送致→検察で簡易鑑定→責任能力がないと判断した場合、不起訴に→検察官が地裁に医療観察法処遇を申し立て(検察官が申し立てなければ、医療観察の対象にはならない)→地裁は鑑定入院を命令、保護観察所は本人や家族と面接をして「生活環境調査報告書」作成→地裁にて裁判官、精神保健参与員、本人、付添人、検察官などが参加して審判→「入院による医療」「入院によらない医療」(精神保健観察=指定通院医療機関への通院が義務付けられ、保護観察所の社会復帰調整官による指導を受ける。原則3年、2年の延長が可)「不処遇」のいずれかが言い渡される(その後、退院などの処遇も裁判所が審判により決定する)
20歳未満の少年は、検察官が起訴不起訴の決定をしないため、原則医療観察法の対象にならない(家裁から刑事処分掃討として逆送された場合には、対象になることもある)
※精神保健参与員は、PSWとして相談援助業務に5年以上従事し、研修会を受講し、希望したものが厚労省の名簿に登録され、事件ごとに地裁が選任する
・どれくらいの人が処遇されているのか
PSW養成テキストによると、2014年3月末時点で、入院処遇は747人