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亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

NY金の踏み上げはいつか?

2017年07月19日 22時55分31秒 | 金市場

18日はアジア時間の午前に伝わった内容そのままに、オバマケア代替案は採択断念ということになった。オバマケアの廃案を含む修正は、トランプ公約の目玉ともいえるもので、それが採決もかけられない状況は、“決められない政治”の象徴といえるもの。マコネル共和党院内総務は、来週にでも今度は「廃案」を掲げ採決を試みようとしていると伝えられているが、これも難しいと見られる。共和党穏健派が、黙ってはいまし。

そもそも、この修正案を成立させることで政府支出を削り、浮いた財源をもとに減税などを推し進めようとの予定だけに、改めてトランプ政権の政策遂行能力に疑問符がつき、債券買い、金利低下、ドル安そして金高につながった。それでも下げないNY株式だが、折しも決算発表の時期でもあり、株式市場の関心はそちらに移っていることが、“救い”ということか。

昨日取り上げたように、NY金先物市場ではファンドが大きなショート(売り建て)を抱えており、すでに思惑外れの上昇となっていることから、心理的な節目となる1250ドル突破の有無が、価格展開上の注目点になったといえる。

さて問題のショートの規模だが、2015年8月11日の483トン以来の数字となる。手元の資料で最高値は2015年7月21日で496トン。ちょうど9月のFOMCにて金融危機以降初の利上げが行われるのではと、いよいよFRBの政策転換が迫り、ゼロ金利脱出観測から利上げが加速するとの見方から、売り込まれたのが背景だった。ちなみに当時の価格は、1103.50ドルだった。結果的には、2015年9月の利上げは、金融市場のリスクオフを受け見送りになった。

足元のショートの急増の背景を時系列で追うと、6月27日にポルトガルで開かれたECBの年次総会に際してECB、BOE(イングランド銀行)、BOC(カナダ中銀)の総裁が、それぞれ利上げを含む引き締め方向への政策転換を示唆し、まず欧州の長期金利が上昇。それが米国金利に飛び火し米長期金利も上昇したのを受け、ファンドがロングの見切り売りに加え、ショートの積み増しに向かったと見られる。さらに7月7日の米雇用統計で就業者増加数の上振れを受け、売りを膨らませた結果、過去最高レベルの490トンまで膨らんだものと見られる。

そのタイミングで出てきたのが、皮肉にも金の買い材料といえるもの。トランプJrによるNYのトランプタワーでのロシア人弁護士との面会の話(7月10日)に、冴えないCPI、小売売上高(7月14日)、オバマケア代替法案採決断念(7月17日)という一連のニュースというわけだ。溜まったショートが、買戻しを余儀なくされるのか否か。内部要因からは、NY金には上向き圧力が掛っているといえる。今週はまず明日20日のECB理事会の結果が材料となりそうだ。

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2 コメント

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踏み上げ? (ささやか)
2017-07-20 09:01:20
もうですか?
まだにして欲しいです。
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踏み上げ (KAMEI)
2017-07-21 20:30:17
先安見通しでショートしたポジションが、思惑外れで買戻しを余儀なくされ、その買いで値を上げる上昇をさして「踏み上げ」と呼びます。

必ずしも急騰、急伸を意味するとは、限りません。
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