亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

ドルの基盤を侵食するトランプ発言

2019年06月27日 16時19分11秒 | 金市場
NY金は5営業日ぶりの反落となった。パウエルFRB議長やブラードセントルイス連銀総裁の発言が売りのきっかけになったとされる。総じて金市場ではこのところの急騰に対する過熱感から売りのきっかけを探しており、想定されたパターンといえる。心理的な節目である1400ドル突破にあたり相応の売りをこなした今回の相場につき、一般的に今は逆に1400ドルが下値のサポートラインといえる。さらに過去3年にわたりチャート上の節目の価格となってきた1360~1380ドルの価格帯も、今回の上昇で上抜けたことでこちらも下値のメドとなる。今回の上昇が6月19日のFOMCの結果(利下げ方針への政策転換)を受けた、先物市場でのファンドの買いに主導されたものにつき、目先の政治イベントに対する反応は、為替や株式市場を通し金に影響する流れと思われる。まずは1400ドルを維持できるか否か。

その目先の政治イベントで最大のものが、言うまでもなく大阪G20サミットにおける米中首脳会談となる。中国サイドはこの件につき音なしの構えの一方、米国サイドからはトランプ大統領はじめ様々な発言が飛び交っている。26日も米経済チャンネルCNBCでムニューシン米財務長官が米中通商交渉は「90%程度完了している」と発言したと伝えられ、一時株は買われ国債が売られる局面があった。その後、「完了していた」と修正されるという一幕も。内容的には、(4月の時点で)「90%程度の地点に到達していた。完遂への道はあると思う」というもので、米国側の期待を表したもの。米国サイドがバタバタとしている印象で、何らかの形にしたがっている様子。トランプ発言は、意図的なのか否か煙幕作戦のように日和見的。

注目すべきは、トランプ大統領が、FRBに対するプレッシャーをさらに強めていること。26日は、自国通貨を切り下げている国と米国が競争できるよう、FRBに対し利下げをするよう呼び掛けた。TV取材(フォックス・ビジネス・ネットワーク)に対し、「パウエル議長は良い仕事をしていない」、「米国が中国と競争できるよう、利下げを実施する必要がある」と持論を展開した。合衆国大統領が間接的ながらドル安を志向していることを表すが、世界最大の経常収支赤字国ゆえに「強いドル」を標榜してきた体制を覆す発言といえる。ドルの基盤をじわじわと侵食する行動と言える。言うまでもなく金のサポート要因。

昨日はいろいろあって更新できなかったが書こうとしていたのは、コンファレンスボード(CB)米消費者信頼感指数が6月に落ちたこと。121.5と前月から9.8ポイント低下し、2017年9月以来の低水準となっていた。市場予想は131.1だった。昨年末のNY株急落にも泰然としてマインド系の指数としては意外にも動揺を見せなかった経緯がある。それが、落ちてきた。米中通商摩擦の長期化やその他の外交摩擦の貿易などへの影響を懸念し、消費者の見方がこれまでよりも悲観的になっている可能性がある。個人消費にも影響を与え、インフレ期待などを通し、FRBの政策にも影響を与えるだけに要注目と思う。
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