亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

屈折のあげく乱反射

2010年01月21日 17時39分16秒 | 金市場
流れが複雑になってきた。先週金曜日にユーロとドルの弱さ比べというような内容で書いたが、そこに中国要因が被さってさらに乱反射という状況。報じられているように昨日は、中国銀行監督当局が銀行融資の抑制に向けて窓口指導を強化という話に、アジアの株価下落から商品市場の売りに、さらにユーロ安にと広がり、金価格も20ドル以上の値下がりに。

中国に関しては金融当局がややスタンスを変え、引き締め方向に歩み出す気配を強めるのか否かを、市場は見守っているところだった。その後伝えられるところでは、昨年12月の銀行融資が3798億元のところ10年年始からすでに融資額は1兆元を超えているのだという。その状況に慌てて「指導」を強めたということのよう。本日午前に発表された中国10-12月期GDPは前年同期比で10.7%と数字の上では完全復活。新車販売台数プラス46%で1364万台は米国を抜いて世界一の面目躍如というところ。

ユーロが売られるのは、相変わらずギリシャを中心にしたゴタゴタが続いており、一部にはユーロ崩壊などというシナリオを語る過激な見方もある。確かにチャート上も下値を抜けたような動きになってきた。ところが一方の米国も金融決算の内容からは、頼りの投資銀行部門の稼ぎが落ちた分利益も減少。個人部門は相変わらず厳しい状況。昨夜は12月の住宅着工が4%の減少。しかし許可件数の拡大で評価は相殺され悪材料とならなかった。これで通期のデータが出そろったが前年比約39%減少は1959年以降の最低水準。

来週は27日水曜日に11月のS&Pケースシラー住宅価格指数の発表が控えているが、これが昨年4月以来となる下落との見方がある。ここまでの金融決算や決算発表に伴い発表された見通しや内容から判断するに、仮に住宅価格が再び下げ始めるとするなら、まず為替市場でユーロ・ドルに動きが出るのではないか。もちろん27日の結果がマイナスであったとしてもトレンドを見ないと単月の判断はできないが、早期利上げ観測はまた押し戻されそうだ。何のことはない、FRBは再び信用緩和に戻るなどということは、ナイトハイエナイのではないかな。

そこに持ってきてマサチューセッツの民主党が“よもや”の負け。刺激策の予算拡大の議会対策も難しくなる。いやはや、屈折乱反射の様相。難しくなってきましたなぁ。金は静かに押し目買い。

さて昨日FastMarketsの調べではロシア中銀の買い増しが伝えられていた。
継続的な購入で知られているロシア中銀の12月の買いが80万オンス(24.9トン)に上っていたことが判明している。10月15.5トン、11月6.2トンと推移してきたので12月の金価格の下げ局面で購入量を増やしたと見られる。09年のロシアの購入量は合算で134トンに上ったと見られる。ちなみに08年は68.4トンとなっている。相変わらず着々とロシアは金を買っているということ。

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