今週は、前週のFOMC後に70ドルほど上げた金に対する投資家の反応が見物だった。まず春節の休暇明けの中国。休み中に居所を変えた価格ゆえに、売り物が出るだろうと。確かにNY時間外のアジアの時間帯には売り物が出たのは価格推移からも読み取れた。そのままロンドンの取引時間帯では、予定通り決着が着かず再び波乱の芽になりつつあるギリシャ問題が、ポルトガル危機を連想させ動揺が広がっていることから、利益確定と安全志向(リスク‐オフ)の手仕舞い売りも膨らみ1715.70ドルまで下げた。
週明けに、まずは利益確定の売りが出るのは順当な展開といえる。とりわけ春節休暇明けの中華圏からは益出し売りが出るのは市場の想定内の動きといえた。さらに30日はEU首脳会合を前に、民間部門とのギリシャ債務軽減交渉が未だまとまっていないことが懸念材料とされ、手堅くキャッシュ化の動きが目立ったのも、すべて前週の急騰によるものといえよう。
ただし、そうした動きもNYの本取引に入るとファンドによる押し目買いの動きが活発化し、反転し値を戻す展開となった。予定されていたEU首脳会合への期待よりもギリシャの債務減免処理の難航への懸念が勝る形で、欧州株全般そして取引開始直後からのNY株の急落が見られたが、その流れに金はやや引っ張られはしたものの、すぐに買いを集め1730ドル台を回復した動きは注目に値するといえる。つまりリスク‐オフの流れに引きずられ下げるという昨年末までのパターンが30日は見られなかった。事実NYダウが一時前日比130ドル超急落する局面でも金はこの日の高値圏で推移していた。金本来のリズムを取り戻す兆候が出ているのは、とりもなおさずファンドが自信を取り戻しつつあることを意味するが、結局、金もリスク資産ではあることを認識しつつ選択肢としてやはり金は外せないという認識といえる。このあたりは、先週の日経電子版でも当方の意見を取り上げてもらった。ファンドを勢いづかせたもの、きっかけはやはり先週のFOMCといえる。それでも控える「ギリシャ超え」。
日経電子版1月26日 「見えてきた金の買い手の姿」
契約者以外は読めないかも。。