景気の悪化というよりも収縮を止めるための通貨増発ができず、その結果、大恐慌入りを招くことになったとされる金本位制。それと同じような金融経済環境を作り出していると指摘されながら数か月経過した、ユーロ圏でドイツを中心に推進されている緊縮財政とECBによる通貨供給の制限策。時間の経過とともに、窮地に陥っている国の経済の収縮が、ますます進んでいる実態が明らかになっている。それでも、方針は変更されそうにない。
「2012年の初めになってもわれわれが依然としてギリシャについて協議しているという事実は、この問題がまだ対処されていないことを物語っている(ダボス会議でのオズボーン英財務相)」。
言うまでもなく、おっしゃるとおり!ギリシャについては、話し合いで決めた救済策を実行する手順を踏んでいる間に、状況が変化し(この場合、悪化)、当初の救済策では間に合わなくなるということが繰り返されている。緊縮策だけではなく、同時に成長策も・・・とは言われるようにはなってきたが、すでに負のスパイラル状態だ。
ギリシャ債務の削減交渉の民間負担分がなし崩しに拡大しているのは、こうした流れを映すが、皆が目指す民間部門との「合意」が仮に成立したとしても、それが“意味のある合意” とならない可能性がある。つまり合意した救済スキームへの参加は任意となっており、どこまで参加率を上げられるかということ。一律適用という強権発動の道も残されているようだが、それをやると民間サイドからの自主的な申し出による債務削減という前提が崩れ、デフォルトとなる可能性があり、難しいとされる。しかし現状は、ギリシャは返済不能に陥っており、債務減免以外の方策はない。
さて今夜のEU首脳会合は、何をどう決められるのか。この会議が開かれるのは、ベルギーの首都ブリュッセルだが、本日は20年ぶりにゼネストが実施され、 すべての鉄道網がストップし、バスやトラムも運行が停滞。学校や商店も閉鎖され、都市機能がマヒ状態と伝えられている。この環境の中で“政治” も、もたなくなる可能性もリスクとして浮上しつつある。