毎月7日に発表される中国人民銀行の外貨準備統計。先週末7日の夕刻に発表されたデータでは、1月中に人民銀行の保有金は約5トン増加していた。3カ月連続の公表となる。今回は外貨準備統計以外に 大手保険会社10社に資産の最大1%を金に投資することを認める試験的プログラムを発表。 投資対象が限られる中での試みとのことだが、人民銀行が過去15年余りにわたり金(ゴールド)を買い進めていることは、よく知られており、保険会社も買い進めることになるとみられる。
アジア時間の夕刻はロンドンの午前にあたる。7日のNY金はNY時間早朝から買い優勢に転じ、そのまま一時は2910.60ドルと取引時間中の高値をさらに更新した。トランプ米政権の関税を巡る先行き不透明感に加え、前日までの中東ガザ地区を巡るトランプ大統領の発言が中東における地政学リスクを上げるものと認識されNY金の買い手掛かりとなった。
そこに中国人民銀行の1月の買いと保険会社に対する1%上限の金購入解禁の話が加わった。 ただし、7日は高値更新の後にさすがに高値警戒感と利益確定売りに終盤に上げ幅を削ることになった。それでも週足ベースでは前週末比52.60ドル、1.86%高で6週連続の上昇となった。
年初から先週末まででNY金は246.60ドル、9.34%の上昇となる。
ちなみに中国の保険会社の金投資プログラムは7日から始まったとされるが、ブルームバーグが報じるところでは、現地の証券会社の試算では最大2000億元(約4兆1700億円)に相当する可能性があるとしている。時価から計算すると約300トンの現物買い余力ということになる。実際に買い進むとなると、相応に需給を締めることになる。
ちょうど昨年10~12月期の世界の投資需要(地金と金貨)の総量が300トン程度だった。ただし、時間を掛けて買い進めると見られ、足元で上値を買い進むことはないとみられる。
そもそも保険会社に金購入を認めたのは、トランプ第2次政権の政策の不確実性に対するヘッジという意味合いがあるとみられる。