週明け8月28日のNY金は3営業日ぶりの反発だった。前週末同様に米長期金利の上昇が一服し、NY時間には低下。8月に入って以降続いていた利回り上昇も、一巡感が出て金市場は買戻しの動きに。NYコメックスの通常取引は前週末比6.90ドル高の1946.80ドルで終了した。
米連邦準備理事会(FRB)のパウエル議長は25日の国際経済シンポジウム「ジャクソンホール会議」で、追加利上げが必要になる可能性に言及しつつも、今後利上げするかの政策判断は「慎重に進める」とした。 最終的に利上げに踏み切るかは米景気次第であるとしたことから、主要な経済指標の発表のなかった28日は、手掛かり不足の一方で、利上げへの過度な警戒感の後退から金は買われた。一時1954.20ドルと8月10日以来の高値を付けたが、今月に入り米実質金利の上昇が目立ち先週は2%超となり金が売られやすい金融環境の割には、底堅く推移しているといえる。
こうした中で、この日はドル円相場がややドル高方向に進展し、一時146.75円と昨年11月上旬以来のドル高(円安)となった。追加利上げを依然として視野に入れているFRBに対し、日銀は金融緩和の継続方針を示しており、金融政策の方向性の違いを意識した円売りが続いた。
この日は一時146.75円と昨年11月以来の円安水準に。
その結果、金の国内円建て価格は、連日過去最高値の更新となり、大阪取引所の先物価格は28日一時9050円と取引時間中の過去最高値を更新。
こうした流れの中で、本日午前に発表された主要地金商の店頭小売価格も税込みで初めて1万円を突破した。グラム単価1万円は節目の価格ではあるものの、ドル建て国際価格を日々のドル円相場により換算したものであり、値動きの主導権はドル建て価格が握っている。
ジャクソンホール会合にて従来のデータ重視の考えを強調したパウエルFRB議長だが、 今週は9月1日の8月米雇用統計に至るまで連日重要指数の発表が続く。想定以上の米景気の堅調さの背景には個人消費の強さがあるが、その個人消費を支えているのが労働市場の強さだ。本日29日には7月の米雇用動態調査(JOLTS)にて求人件数を、さらに30日には8月のADP全米雇用報告にて民間部門の雇用者数の動向をみる。
9月1日の雇用統計では雇用者数の増加ペースに加え、週あたりの平均賃金の伸び率も焦点となる。
31日には、FRBがインフレ指標として重視する指標(PCEコアデフレーター)の発表も控える。
今後のFOMCは、「全てがライブの会合(パウエル議長)」とする中で、指標の重要性が増している。