昨日の欧州中銀(ECB)政策理事会、声明文は市場が読んだ緩和バイアスの文言を削除することなく、そのまま政策変更ナシ、変更を示唆するものもナシというハト派的内容のものとなった。市場内で高まっていた“出口”に向けたECBの政策転換見通しは、冷や水を浴びせられることに。
この段階で6月27日以降前日まで買われ続けていたユーロは急反落状態に。ところが、その後ドラギECB総裁の記者会見が始まると、状況は徐々に変化することになった。ドラギ発言は、これまでと同じ慎重スタンスを感じさせるハト派的内容。しかし、随所に以下のような内容が混じり、それを市場は政策転換への示唆と受け止めることになった。以下、ロイターの記事中から一部抜粋。
・「(量的緩和策の今後につき)秋に議論しようとしている。その時点までに入手可能なあらゆる情報を得る必要があるため、具体的な日程を設定したくなかった」
・「われわれには一貫して自信があり、歩んでいる。自信と慎重さ、忍耐を併せ持っている。
ユーロ圏の成長見通し改善が疑いのないものだと基本的に評価している」
・「ユーロ圏経済の拡張が引き続き力強くなっていることが、入手される情報で確認されている。こうした拡張はセクター、地域にわたり拡大している」
・「ようやく底堅い回復を実感しつつあり、賃金や物価がわれわれの目標に向かうのを待つだけだ」
政策変更に非常に慎重なスタンスを示しながらも、この先行きへの自信。本音は、政策転換と市場が読み取ったのは、むべなるかな・・。。
結局、変更のなかった声明文を見て売られたユーロは、ドラギ発言のいいところ取り的な解釈(タカ派内容のすくい取り)で、逆に買われ、そのまま1.16ドル台へと駆け上がり、2015年8月以来の高値を示現ということになった。この急騰に象徴される、ユーロ高を避けたいというのがECB幹部の意向と思われる。
いずれにしても、“市場がどう受け止めるか”の見極めが、中央銀行の発表(市場とのコミュニケーション)の難しいところで、いずれその難しさに直面するのが、われらが日本銀行(Bank of Japan、BOJ)ということ。わらべ歌にある、行きはよいよい、帰りはこわい・・・(ばら撒きはたやすく、締めは困難を伴う)を地で行く展開といえる。行けば行くほど、帰りのこわさは増すことになる。結局、帰りはこわくとも、とことん行くしかなくなったBOJ。
さて足元のドル建て金価格は、先日書いたように大量のショートを抱えての展開だけに、節目の1250ドルを超えると、さらに上値追いの可能性。20日の上昇は、ECBよりもロシア・ゲート関連、つまり米政治リスクもサポート要因となった。
ヘッジ売りなくなって、今や手口なんて、と思ってました。 力の衰えたヘッジファンドがアルゴリズム取引全盛の相場を動かす力がまだあるんですね。
なんでこんな静かな環境で、こんなに膨らんでいるのか、という感じでしょう?
Fedというか、中銀には逆らうなということなんでしょうかね。