NY金は、大方の予想を超える6連騰で1250ドルを突破。夏休み入りで大きな動きはないという見方もあるが、確かに大きな動きはないが、休んではいない。先週末のCFTC(米商品先物取引委員会)発表のデータでは、オプショント取引抜きで前週とロング(買い建て)、ショート(売り建て)ともに、ほとんど変化がないという非常に珍しい結果になった。
7月11日時点で、ファンドのショートが過去最高規模の490トンまで膨れ上がっていた。6月14‐16日のFOMCにて、年内もう1回の追加利上げの意向が示され、同時に資産縮小を「早期に」やると宣言。さらに「インフレの低迷は一時的」とイエレン議長自身が記者会見で語ったこともあり、米長期金利は上昇、金は調整局面入りに。
そこに、6月27‐28日の日程でポルトガル、リスボン郊外の保養地シントラで開かれたECBのシンポジウムが加わることに。口裏を合わせたかのような(実際に、合せた)欧米中銀総裁による“出口”方向を意味する“引き締め”というより、“異次元緩和策終了”の大コーラス。
これで潮目が変わったとばかりに、金市場ではファンドが一気にロングの手じまい売りし、同時にショートの積み増しにポジションを傾け買い越し残(ネット・ロング)は187トンと016年1月以来の低水準に。しかし、ショート単体で490トンになっていた。21日に明らかになったデータでは、その数字に変化はなかった。7月14日に発表された消費者物価指数(CPI)や小売売上高の弱気の結果に対し金は上昇したが、意外にもポジションに変化はなかった。今週も注目指標の発表が続くのでどうなるか。
為替市場で2014年初め以来の高水準)まで膨れ上がったドル円のドルロング・円ショート(円安期待)。このドルロング(円ショート)が膨らんだ状態と金ショートの拡大は、対になったトレードと言えるもので、米長期金利の上昇を読んだ上での金ショートといえる。足元の円高、金高は、ファンドにとって思惑外れの逆行が起きていることを表す。先週、まずはシントラム前の水準まで戻った金は、今週も上値トライとなると見られるが、売りをどうこなすのか見もの。