先週12月13日のNY金は続落した。前日発表の11月米生産者物価指数(PPI)にて米インフレの鈍化が一服状態であり、むしろ上昇圧力が高まっていることが示されたこともあり、ドルと米長期金利上昇の中でNY金は売り優勢の流れが続いた。通常取引は、前日比33.60ドル安の2675.80ドルで終了。
前週初めにかけて中東でシリアのアサド政権が崩壊し地政学リスクが上昇。一方、金市場内部では中国人民銀行が11月に7カ月ぶりに金準備を増やしたことが判明しセンチメントを押し上げ買いが先行した。一時は、10月30日以来1カ月半ぶりの高値となる2750ドル台まで上昇。しかし、買い手掛かりの賞味期限も短く、週後半に複数の11月の米物価指標が発表されいずれもインフレ鈍化がこの数カ月足踏み状態にあることが意識されると、一転金市場では売り圧力が高まることになった。市場では12月の利下げは既定路線ではあるものの、来年以降の利下げは一時休止を含め緩やかなものになるとの見方が改めて広がることになった。
こうなると週前半の上昇がファンドのモメンタムトレード(流れに付く売買手法)で拡大していただけに、反転し下げ始めると同様に下げ幅は拡大した。 結局、前半3営業日で97.10ドル高、後半2営業日で80.90ドル安。いわゆる行って来い状態で、それでも週足は前週末比16.20ドル高の2675.80ドルドルで終了いうことに。
今週は内外で金融政策決定会合が多く予定されている。
金価格に影響を与えるという点では、言うまでもなく17~18日の米連邦公開市場委員会(FOMC)および18~19日の日銀の金融政策決定会合となる。
FOMCは0.25%の利下げを決めることがほぼ織り込まれている。今回の会合ではメンバーによる経済・政策金利見通しが公表されるが、米連邦準備制度理事会(FRB)がどの程度次期トランプ政権の政策を織り込んでいるかが注目される。
25年は追加緩和ペースが鈍るとの見方が増えていることから、金利見通しと同時にパウエルFRB議長の記者会見に注目が集まる。
日銀金融政策発表については、先週の複数の報道からは据え置き予想が増えている。しかし、ブルームバーグが5~10日に実施したエコノミスト52人を対象にした調査では、政策金利引き上げのタイミングについて、来年1月が52%と過半を占めるものの、今月も44%とほぼ2分する形となっている。
仮に見送りとなった場合でも、植田日銀総裁の記者会見での発言には注意が必要だ。内容によりドル円相場に影響を与え国内金価格の動きが大きくなる可能性がある。