亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

節目に控える売り物をSWEEEPし、金は2013年の戻り高値更新視野に

2019年06月20日 23時46分23秒 | 金市場
先週末から上海出張で昨夜帰ってきたところ。現地でもNYの状況はウォッチしており、ECBドラギ発言によるユーロ安の中でも、金は引けベースで年初来高値更新となったので基調の強さを感じていた。本日アジア時間の午前に一気にsweepしたので、まぁ、さもありなんと。なぜかというと、ここまでFRBの利下げへの大転換が6月4日のパウエル発言(言うまでもなくFRB議長)にて示されていたにも関わらず、金は株高に頭を押さえられるというか上蓋を閉じられたような形で、内部で圧力が溜まっているイメージで上蓋が取れると反動高が起きるんじゃないかと直近の取材で複数のメディに話していたのだった。

1350ドル近辺で多くのロングが手仕舞いされ、ショートもカバーされたことで、現地19日14時にFOMC議事録が発表され、経済見通し(いわゆるドットチャート)が発表され声明文に反応した金は10ドルがた水準を切り上げた。それからしばらく1350ドル台後半にて売り買い交錯状態のもみ合いに。それでも議長記者会見などを経て1360ドル台でNY時間は終了。メディア報道は通常取引の終値(清算値)が使われるので1348.80ドルとなることに。ドラマはそれ以降で、上記のようなNY時間外は10ドル水準を切り上げ。結果的にこの上昇は序の口だった。


今回のFOMCは予想通り政策金利(フェデラルファンド・レート、FF金利)の誘導目標を2.25~2.50%に据え置きを決定した。今年投票権を持つセントルイス連銀のブラート総裁は利下げを主張し、据え置きの政策決定に反対票を投じた。声明文では、これまであった金利調節に当たり「忍耐強く」対処するとの文言は削除され、「景気拡大を維持するために適切に行動する(act as appropriate)」とした。「適切に行動する」との表現は、6月4日にパウエルFRB議長が講演でもその旨を表明していたもの。

市場が今回の決定内容が予想以上のハト派傾斜と受け取ったのは、参加メンバー17名が提示した経済見通しの分布図(ドットチャート)の政策金利の見通しによる。多くのメンバー(17人中7名)が年内計0.5%(50ベーシスポイント)の利下げを見込んでいることが判明したこと。もっとも今回、分布図は意見の割れも示した関係で予想値の中央値は、年内の政策金利の水準が2.25~2.50%にとどまり変化はなかった。それでも議長をはじめFRB執行部を含むとみられる7名ものメンバーが、年内2回の利下げを見込んでいるという事実が、市場へのインパクトという点で大きかった。なお政策金利(FFレート)については、長期見通しは2.80%から2.50%に引き下げられた。FRB関係者のこのところの発言内容から、物価上昇(インフレ率)の鈍さに対する警戒感が感じられるが、5月のFOMCでは物価上昇の鈍さは「一時的な要因による」としていたパウエル議長だったが、今回はそうした見方を示さなかった。

FRBは声明文では通商摩擦への言及はしておらず、企業活動に対する不透明感の高まりや物価動向などから米中首脳会談の結果は問わず、利下げ見通しに傾いているようにうかがえる。結果を受けた金市場では、10ドルほど水準を切り上げ1350ドル台後半の取引に移行。その後のパウエル議長の記者会見の間は、この水準で売り買い交錯状態となった。それでも最終的に1360ドル台に乗せて19日のNY時間外の取引は終了。明けて20日アジアの時間帯では、買いが優勢となり昨年4月の高値を上に突破したことでファンドのAIロボットトレードが活発化し、一気に2016年7月の高値1277.70ドルも突破、そのまま一時1397.70ドルまで高値を見ることになった。
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