>昨日は、IMF・世界銀行の年次総会でのイエレン財務長官の講演内容に触れ「成長見通し上方修正でも吹かし続ける政策」とのタイトルを掲げた。発表された市場の注目度が高かった3月のFOMC議事要旨も、言わんとするところは同じだった。
2021年の成長率を4.2%から6.5%に、失業率を5.0%から4.5%に、インフレ率を1.8%から2.25にそれぞれ上方修正する見通しを示した3月のFOMCだったが、それでも2023年までは利上げを見込んでいないことを表明。この発表について、市場ではワクチン接種の加速やバイデン政権の大型救済策などから景気回復の加速を見込む向きが多く、議事要旨には緩和策縮小方向の議論の形跡が現れるのではとの憶測が生まれていた。しかし、公表された内容に早期に緩和縮小する兆候は、まったく見られなかった。
議事要旨は、3月17日のパウエル議長の記者会見での発言と大差なかった。
大半の会合参加者は「先行きのインフレのリスクは概してバランスがとれている」との見方を示し、物価上昇は「一時的」との認識を改めて確認。月次ベースで少なくとも1200億ドルの資産購入による大規模な金融緩和が、「経済を支えている」と強調した。この部分は、初めて登場。このところの長期金利の上昇についても、すでにパウエル議長が指摘してきたように、総じて「経済見通しの改善を反映している」との認識を示した。最大雇用と物価安定の目標に向けたさらなる実質的な進展があるまで「しばらく時間がかかる」とし、「そのときまで少なくとも現在のペースで資産購入を続ける」と結論づけている件(くだり)は判明済み。
一昨日6日はここで、91万人台の増加と雇用者数の伸びが予想を大きく上振れた3月の米雇用統計の結果に続き、ISM非製造業景況指数の上振れ結果にも市場の反応が薄かったことについて、触れた。前日5日には、FRBが「昨年来単純な失業率低下のみを目標に掲げていないこと」を指摘し、FRBが目指す「雇用の最大化」について「幅広く包摂的なもの」にしていることがあるとした。(仕事探しを諦める人が増えた結果)低下した労働参加率や人種間での失業率の差異なども含め改善を図ろうとしているFRBの目標基準は、以前にくらべ高く、目標に程遠いゆえに緩和策の縮小など時期尚早という結論となる。
7日はCNBCに登場したブレイナードFRB理事が、雇用と物価の目標が確実に達成されるまで行動を起こさないというのがFRBの新たな姿勢だとした。この発言に今のFRBの方針が集約されている。同理事はFRB執行部の“声”と言える。今後数カ月間「成長や雇用、物価でかなり良い結果が期待できる」とする一方、実際にデータで確認する必要があり、なお何百万人もの雇用が失われている中で「道のりはまだ長い」とした。
この「結果(データ)を確認して」が、先行き問題を引き起こすのではとの懸念につながる。つまり、政策が後手に回るのではないかということ。
さてさて、昨日は最後に「NY金は1750を前に、手掛かり難」と書いたが、FOMC議事要旨とブレイナード発言を受けて、今夜は1750突破にトライしそうな空気が漂っている。
明日9日の夜は、「亀井幸一郎のゴールド・ボイス」更新の予定。夜の8時以降くらいにアクセスを以下のURLに。/strong>

https://anchor.fm/goldstreet1</a>
2021年の成長率を4.2%から6.5%に、失業率を5.0%から4.5%に、インフレ率を1.8%から2.25にそれぞれ上方修正する見通しを示した3月のFOMCだったが、それでも2023年までは利上げを見込んでいないことを表明。この発表について、市場ではワクチン接種の加速やバイデン政権の大型救済策などから景気回復の加速を見込む向きが多く、議事要旨には緩和策縮小方向の議論の形跡が現れるのではとの憶測が生まれていた。しかし、公表された内容に早期に緩和縮小する兆候は、まったく見られなかった。
議事要旨は、3月17日のパウエル議長の記者会見での発言と大差なかった。
大半の会合参加者は「先行きのインフレのリスクは概してバランスがとれている」との見方を示し、物価上昇は「一時的」との認識を改めて確認。月次ベースで少なくとも1200億ドルの資産購入による大規模な金融緩和が、「経済を支えている」と強調した。この部分は、初めて登場。このところの長期金利の上昇についても、すでにパウエル議長が指摘してきたように、総じて「経済見通しの改善を反映している」との認識を示した。最大雇用と物価安定の目標に向けたさらなる実質的な進展があるまで「しばらく時間がかかる」とし、「そのときまで少なくとも現在のペースで資産購入を続ける」と結論づけている件(くだり)は判明済み。
一昨日6日はここで、91万人台の増加と雇用者数の伸びが予想を大きく上振れた3月の米雇用統計の結果に続き、ISM非製造業景況指数の上振れ結果にも市場の反応が薄かったことについて、触れた。前日5日には、FRBが「昨年来単純な失業率低下のみを目標に掲げていないこと」を指摘し、FRBが目指す「雇用の最大化」について「幅広く包摂的なもの」にしていることがあるとした。(仕事探しを諦める人が増えた結果)低下した労働参加率や人種間での失業率の差異なども含め改善を図ろうとしているFRBの目標基準は、以前にくらべ高く、目標に程遠いゆえに緩和策の縮小など時期尚早という結論となる。
7日はCNBCに登場したブレイナードFRB理事が、雇用と物価の目標が確実に達成されるまで行動を起こさないというのがFRBの新たな姿勢だとした。この発言に今のFRBの方針が集約されている。同理事はFRB執行部の“声”と言える。今後数カ月間「成長や雇用、物価でかなり良い結果が期待できる」とする一方、実際にデータで確認する必要があり、なお何百万人もの雇用が失われている中で「道のりはまだ長い」とした。
この「結果(データ)を確認して」が、先行き問題を引き起こすのではとの懸念につながる。つまり、政策が後手に回るのではないかということ。
さてさて、昨日は最後に「NY金は1750を前に、手掛かり難」と書いたが、FOMC議事要旨とブレイナード発言を受けて、今夜は1750突破にトライしそうな空気が漂っている。
明日9日の夜は、「亀井幸一郎のゴールド・ボイス」更新の予定。夜の8時以降くらいにアクセスを以下のURLに。/strong>

https://anchor.fm/goldstreet1</a>