25日のNY金は3営業日ぶりの反落で、今月2日以来約3週間ぶりの安値に沈んだ。通常取引は前日比62.20ドル安の2353.50ドルで終了。
前日比の騰落比は上昇していた通常取引終値との比較となる。前日の下げはナスダック総合を中心とした株安の広がりの中で金市場の方も時間外取引で売りが加速しマイナス圏に沈んでおり、実質的には続落ということになる。時間外取引終値との比較では44ドル安ということに。
前日、市場を席巻した株式市場中心にリスクオフの投げ(=売り)は下火になったものの基本的には続いた。予想に届かなかったテスラとアルファベットの決算をきっかけに崩落状態となった、いわゆる超大型ハイテク7銘柄「マグニフィセント・セブン」の下げは続き、25日もナスダック総合は続落に。
NY金の方もすでに前週大幅に買いついたファンドには、マイナス圏の水準ゆえに利益確定と言うよりもポジション(持ち高)整理という状況にある。もともとFRBの9月利下げばかりか、年内2回でなく3回の利下げまで前のめりに織り込み買いついたポジションは目先筋のもので、変わり身も早く、いわば総員撤退という印象の投げ(=売り)となった。
NYコメックスの取組(未決済玉)の推移から推測するに、前週までに買いついていた重量換算103トンもの買いの整理売りは一巡したとみられる。
25日は米4~6月期実質国内総生産(GDP)速報値が注目されたが、ちょっとしたサプライズだった。
端的には成長率は予想比上振れ米国経済の予想以上の堅調さを示す一方で、インフレは鈍化しており、いわゆるゴルディロックス(適温経済)を示唆するものとなった。FRBが目指すソフトランディングに向け進行している状況を表した。もっとも、速報値ゆえに確報値まで2回の修正があるゆえ断定はできないが、少なくとも米国経済の比較優位は続いている。
金市場にとっては、インフレの鈍化が示されたことで、9月利下げ見通しが維持され、悪材料ではないということに。ただし景気の減速あるいは後退の中で目標値(2%)を上回るインフレの継続というスタグフレーション環境が、ゴールドにとって上値を見込める環境ゆえに、この点では見通しの修正を迫られる内容と言える。
具体的には、米4~6月期の実質成長率速報値は年率換算で前期比2.8%増だった。1~3月期の1.4%から加速し、市場予想の中央値2%を上回った。個人消費と設備投資の堅調な伸びが押し上げた。経済の3分の2以上を占める個人消費は2.3%増。設備投資は11.6%増と、前四半期の1.6%増から伸びが急加速した。FRBが注目する、変動の大きいエネルギーと食品を除いたコア個人消費支出(PCE)価格指数は2.9%の上昇だった。市場予想の2.7%を小幅に上回ったものの、1~3月期の3.7%上昇からは伸びが鈍化した。
米国のインフレは鈍化はしているものの、ここまで生活コストは上昇を続けており、家計は出費を切り詰めている。そうした状況の中で個人消費が前期比で2.3%も伸びていたことが驚きだった。
結果に反応して対円で大きく売られていたドルも買い戻された。