先週のNY金は、週足で反落した。地味な動きながらも総じて買いが先行する流れが続き、21日の取引時間中に2382.60ドルと2週間ぶりの高値を付けた。
しかし、その後発表された6月の米PMI(購買担当者景気指数)速報値が、市場予想を上回り利下げ観測が後退し長期金利が急伸すると急反落した。
前日までの2営業日で40ドル水準を切り上げていたが、上げ幅をすべて削り週末の取引を2331.20ドルで終えた。
週後半に向け水準を切り上げたものの21日の下げですべて失い、いわゆる行って来い状態なったNY金。
それは約1カ月前5月23日の下げ相場の再現だった。
この日やはりS&Pグローバルが5月PMI速報値を発表。結果は予想比上振れとなり、市場の利下げ観測は後退しNY金は売られ1日で2.3%55.70ドルもの下げとなった。
したがって先週21日の相場展開について一定の予見があった。仮に6月PMI速報値が上振れした場合、NY金は下げに転じ、その程度により下げ幅も拡大することが想定できた。
ただし、より広範囲をカバーするISM(サプライマネジメント協会)景況指数の5月の製造業50ポイント割れから、S&Pの6月PMIも鈍化傾向を示すものと読んでいた。
この点で今回も7月初めに発表されるISMの6月製造業および非製造業景況指数を注目する必要がある。
何かNY金の反転の手掛かりになりそうなものはないか。
レーダーサイトを見ると近いところでは6月28日に5月の米個人消費支出(PCE)・所得統計がある。
言わずと知れたコアPCEデフレーター(コア個人消費価格指数)が注目となる。
折しも13日の5月生産者物価指数(PPI)が予想外のマイナスとなった際に、PCEデフレーターの算出に使われるいくつかのカテゴリーが前月比で低下したということがあった。 そこで市場予想を見てみると前月比0.1%上昇と昨年11月以来、6カ月ぶりの小幅な伸びにとどまる見通しだ。
仮にこの予想通りならば、日柄整理中のNY金にとっては、浮上の手掛かりとなるのだろう。
逆に見込み外れならば、レンジになりつつある2300ドル台でしばらく逡巡することになりそうだ。
つまり米個人消費支出(PCE)・所得統計は7月のNY金の方向を決めそうな隠れたイベントとなりそうだ。
なおデフレーター(価格指数)以外にも個人消費支出(PCE)自体にも注意したい。というのも4月は実質ベースでマイナスになっていたことによる。米個人消費も曲がりかけている可能性がある。
明日の朝、午前8時からのラジオNIKKEI「おはようマーケット」に電話ライブ出演。8時6分頃から15~6分くらい。金市場の話をします。スマホを使いrajikoにて聴けます。今週の話までは、時間が足りないでしょう、たぶん。