週明け24日のNY金は反発した。前週末比13.20ドル高の2344.40ドルで終了。
前週末にS&Pグローバルが発表した6月PMI(購買担当者景況指数)が予想を上回る上昇を見せ大きく売られた(前日比37.80ドル安)が、この日の戻りは自律反発の類といえる。売られ過ぎということで、買い戻されたもの。
アジア時間から終日緩やかに水準を切り上げて終了する静かな1日だった。
市場は静かだが、中東ではイスラエル北部レバノン国境ではスラム教シーア派組織ヒズボラとイスラエル軍との緊張が高まり、本格的な戦争状態入りが懸念されている。米軍首脳はイスラエルによるレバノンへの攻撃はイランやその代理勢力を巻き込む広範な紛争のリスクを高めると指摘。外交交渉の仲介を目的にイスラエルを訪問中のドイツのベーアボック外相は、「意図しないエスカレーションと全面戦争のリスクは日を追うごとに高まっている」としている。 欧州では地政学リスクへの警戒心が高まっている。状況により金市場を刺激する可能性がありそうだ。
米国関連では主要な経済指標の発表がない中で、米連邦準備理事会(FRB)高官の発言内容が注目された。
サンフランシスコ連銀のデイリー総裁は、インフレ率が2%に向かっていると確信するまでは利下げすべきではないとこれまでの主張を繰り返した。ただし、一方で「現時点で、われわれが直面するリスクはインフレだけではない」とし、インフレ目標達成のために需要抑制が必要だが、良好ながらも、もはや過熱気味ではない労働市場にストレスがかかるとの見方を示した。同総裁は今年のFOMC(連邦公開市場委員会)で投票権を持つが、FRB執行部とも近く注目人物と言える。「リスクはインフレだけではない」という類の発言は初めてで注目に値すると思う。
他にシカゴ連銀のグールズビー総裁が米CNBCの番組で、政策が経済を過度に圧迫していないかについて考え始めるのが適切かもしれないとした。インフレの鈍化が今後も示されれば「これまでと同程度の金融引き締めを続けるべきか、問わざるを得なくなる」としている。さらに現在の政策については「やや歴史的な」景気抑制水準にあると指摘。実体経済で現在起きている状況を過熱とは表現し得ないとの見解を示している。同総裁はこれまでもハト派的な発言が目立つが、やはりここまで踏み込んだ発言は初めて目にするもの。
少しずつ流れは変化し転換点が近づいていることを思わせる。