本日の英国のEU離脱劇。テール・リスクの現実化のように語る人がいるのだが、もともと「Leave(離脱)」と 「Remain(残留)」は拮抗していたわけで、どっちに転んでもという感覚で見ていた。その上で、どちら?と問われると、浮動票が「Remain」に傾き残るでしょ・・・と。したがって、「leave」で決まりとなっても、そうですか、ということになるし準備もしていた。ブックメーカー(公認賭け屋)の残留倍率の上昇が惑わしの要因になったのか。
キャメロン首相は退陣を表明したのは、止む無し。UKは最長2年かけて退出ということになるが、出て行かれるEU側も甘い顔を他の加盟国の手前できないし、してしまうと後に続こうとする国が出る。欧州統合どころか逆流になる。英国の次期政権は、面倒な交渉事に時間を割かねばならなくなる。
その間に下手をすると自国内で再び分裂騒ぎが起きることも考えられる。今回の結果を見るとおおまかに北と南で色分けできるが、やはり意向を受け入れられなかったスコットランドは、この先どう出るか。また住民投票などということになれば、それこそUKならぬUUKになりそうだ。Un-united Kingdomだ。
これからいろいろ世界的に騒がしくなりそうだ。来年にかけてヨーロッパは選挙が続き、その内容次第ではさらに不安定化しそうだ。目先ではまず今週末のスペインの総選挙。
ポデモスという新興政党は党首がギリシャのあのチプラス首相と懇意だが、ここで第一党などということにでもなれば、EUはますますややこしくなる。
これから数日は、世界の皆様慌てなくて大丈夫です。パニックにならないでください、という各国政府と金融当局の大合唱が始まる。
日本時間の午前の早い時間に1250ドル割れを試すところまで売られた金は、6時間後には一時は100ドル以上の暴騰で1350ドル台までみた。流れに付くというモメンタム系の買いプログラムがヒットした。しかし、もともと過去最大のロングを抱えるだけに、高値の維持は難しく押し戻されるのは当然の流れ。今夜のNYが見ものだが、レンジを切り上げることになりそうだ。
なぜなら、今回のイベントはFRBの利上げスケジュールにも影響すると見られるからだ。7月は元より9月の利上げも難しいだろう。今後の状況によっては、年内の利上げも難しいばかりでなく、条件付きだが先行きの利下げ論議も荒唐無稽の話ではなくなりそうだ。