亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

フレッシュ・ショート(新規売り)の増加

2018年06月29日 22時39分01秒 | 金市場
NY金は、週末、月末、さらに四半期末接近ということで、目立った動きなく、それでもドル高傾向が根強いことからファンドと見られる売りが続き、28日まで4営業日続落となった。一時1250ドル割れとなり、連日の年初来安値更新で昨年12月13日以来、6か月半ぶりの安値となった。もっとも、銅など非鉄金属や貴金属の中でも産業用需要の多いプラチナなどに比べると下げ率は小さいといえる。

NY金は昨年の前半を中心に、おおむね1200~1300ドルのレンジ内に収まる取引が続いた。それが下半期、特に9月以降から今年の前半にかけてレンジが50ドル切り上がり1250~1350ドルで推移。その中でも今年の上半期は1300~1350ドルの1300ドル超の推移を続けた。ここまでの値動きからすると現在の水準はレンジの下限に位置していることになる。もっとも、この時点で1250ドルまで売り込まれるとは思っていなかった。

足元の内部要因で目立つのは、NY先物市場にてファンドが売り建て(ショート)を積み増していると思われること。前週のデータでは1週間で3万コントラクト超、重量換算にして105トンほど増加していた。日本時間の明朝に発表される6月26日時点でのデータでもペースが落ちたとしても、やはり増えていると思われる。それが、どの程度になっているか。

いずれにしても、徐々に水準を切り下げているのは、ドルの堅調地合いが続いていることがある。しかし、ダラダラと下げる相場に底打ち感が出ないのは、経験則の教えるところでもある。28日もドル指数(DXY)は終値こそやや軟化したものの、一時、年初来高値を更新し終日95ポイント台を維持した。米中通商摩擦の高まりに対する市場の警戒感は強く、米国債が買われており28日の10年債利回りは2.843%で終了。長期金利の観点では、金売りの要素は後退している。

米中通商摩擦については、6月30日に予定されていた投資規制の発動は見送られたようだ。ただし、7月6日に発動予定の(課税ベースで)340億ドルの対中輸入関税については、状況に変化は見られない。中国も同規模の報復関税に踏み切るとしていることから、そのまま双方が発動となると、さすがに株式市場の反応も現状のようにはいかないと見られる。これから数日の両国間の動きを注視ということに。荒れるとさすがに、資金は金に向くと思う。

なお、日本時間の本日早朝に米紙ウォール・ストリート・ジャーナル(電子版)が報じたところでは、ホワイトハウスのジョン・ケリー大統領首席補佐官が、早ければ今週中にも、あるいは7月中旬までには辞任の意向とされる。解任されたプリーバス前首席補佐官の後を引き継ぎホワイトハウス内の指揮系統や秩序など正常化に功績のあった人物。重要人物がまた一人、トランプ政権を離れることになる。


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