亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

歴史的低失業率の好況期に米国財政赤字の急拡大

2019年02月14日 23時16分04秒 | 金市場
米財務省が13日に発表した2019年暦年ベースの財政収支は、アメリカひとり勝ちとされる好況や記録的な低失業率の中ながら、歳入が0.4%減少となっていた。

歳入は3兆3300億ドル(約366兆円)、一方、歳出は4.4%増加し4兆2000億ドル(約462兆円)に。その結果、予算上のギャップつまり赤字は8730億ドル(約96兆円)に拡大。前年比で28.2%増。2012年以来の赤字の規模に。

ちなみに米国の年度は10月から翌年9月末で、繰り返すが今回のデータは暦年ベースのもの。言うまでもなく、企業をメインにした大型減税の影響が歳入減に反映され、一方、軍事費などの増加が圧迫要因となっている。FRBが利上げを続けたこともあり、国債の金利(クーポン・レート)も上昇、政府の利払い負担も上がっている。対中関税大幅引き上げによる税収増が秋に見られたが、焼け石に水。しかし、なければもっと赤字は膨らんでいた。

もっとも、政府見通しを違える形での財政赤字の拡大は予想されており、それが現実のものになったということ。13日はFOMCメンバーでタカ派で知られるクリーブランド連銀のメスター総裁が講演で、米国の債務は長期的には持続可能ではないとしたが、他のメンバーも同じような指摘をしている。いずれ景気の減速、後退期がやって来るのは避けられないが、その際にさらに財政赤字の拡大は加速することになる。経常収支の赤字をドルの回転で賄っているのがアメリカなので、「双子の赤字」への関心の高まりはドル安要因につながることに。これは、古典的ともいえる金市場の関心事でもある。

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