米債利回りが急低下している。
価格の急落(利回り急騰)もあって流動性の低下(流通量の低下)を懸念する米国財務省の動き(市場介入を模索)が活発化しているのだが、それを察知したものか不明だが、買いが先行し利回りは低下している。現在日本時間の26日20時過ぎだが、10年債利回りは4.063%と前日の引け水準(4.103%)を下回っている。
そもそも24日は発表された消費者信頼感指数や住宅価格などの一連の経済指標が悪化したことで、米連邦準備理事会(FRB)が年内に利上げ幅を縮小するとの観測から買いが入り、低下した。
低迷を表すデータは、FRBの利上げが経済を減速させている兆候と捉えられ、NY時間の早い段階で水準を切り下げていた。一時は4.057%まで低下し今週に入り4%を超えてきた3カ月物の財務省証券(短期国債)の利回りを一時下回る「逆イールド(利回り)」状態に。良く知られているように、長短利回りの逆転は景気後退(リセッション)の可能性を示す有力手掛かりとされるが、いまや10年債は2年債のみならず3カ月物まで下回る状況が生まれている。 25日の10年債利回りは4.103%、2年債は4.462%でそれぞれ終了。
0.75%の引き上げが予想されている連邦公開市場委員会(FOMC)が来週に迫る中で、短期債は軒並み上昇し1カ月物も3.4%台と日本感覚では超高利回りという状況に。
米債利回り低下の中で、スナク新政権誕生の英ポンドから今週欧州中銀(ECB)の政策理事会があり0.75%利上げが見込まれるユーロとドルは売られた。対円も覆面介入の影響で上値が重くなっており、ドル指数(DXY)は結局、一時110.759まで低下し3週間ぶりの安値となる110.950で終了。
このドル安の流れは続いており、本日はこの時間までに一時110ポイント割れまで見ている。 こうなるとNY金にはファンドのショートカバー(空売りの買戻し)が入ることになる。
25日は1660ドル台中盤まで買われたものの維持できず1658.00ドルで終了。時間外取引の引けも似たようなものだった。本日はDXYがロンドンの時間帯に落ちたことから、1679.40まで上値を見ている。この後、NYに入るが今日のところは1680前後を固められれば上出来という印象。海外アナリストは節目の1650ドル超えを重視していたようで、テクニカル要因好転からセンチメントも変わりそう。
本日は米9月新築住宅販売件数の発表だが、25日に米連邦住宅金融庁(FHFA)が発表した8月の全米住宅価格指数は前月比で0.7%下落し、2カ月連続で低下した。2カ月連続の低下は2011年3月以来初めてとされる。米連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)によると、30年固定の住宅ローン金利は足元で6.94%と前年同月の2倍以上の高水準で推移している。前年比で2倍に上昇している。これではローン返済の負担は大きく、買えない。上昇を続けてきた価格が下落局面に転じたといえる。