8月29日のNY金は3営業日ぶりに反発した。
朝方発表された米経済指標が上方修正され、FRBが利下げ幅を拡大するとの観測が後退した。NY金はドルや米国債利回りの上昇に押されて前日比マイナス圏に下げる場面が見られたものの、売りが一巡すると急速に持ち直した。通常取引は、前日比22.50ドル高の2560.30ドルで終了した。
米商務省が発表した4~6月期の実質GDP(国内総生産)改定値は、年率換算で前期比3.0%増と、速報値の2.8%増から上方修正された。1~3月期の1.4%から加速した状況が示された。経済の3分の2以上を占める個人消費の伸びは2.9%と、速報値の2.3%から上方修正された。前期は減少していた企業利益も増加となった。
月初の7月雇用統計発表時に一時景気後退懸念が高まったが、回避できるとの見方が強まった。
市場では9月の米連邦公開市場委員会(FOMC)にて、通常の0.25%でなく0.5%の利下げを見込む動きがあったが、そこまでの必要はないとの見方につながった。
結果を受けドル指数(DXY)も10年債利回りも上昇、金市場では売り圧力が高まり発表前の2550ドル台半ばから20ドルほど水準を切り下げ、2536.50ドルまで売られ、これがこの日の安値となった。ただし、売りが一巡すると切り返しも早く、昼前には午前の高値を上抜き終盤には一時2562.20ドルまで買われ2560.30ドルで終了した。
終値ベースで26日の水準を上回り過去最高値を更新した。
このところのインフレ指標の鈍化継続や労働市場の軟化から、9月利下げに変化はないとの見方が押し目買いを促している。実際に29日は、金ETF(上場投信)の最大銘柄「SPDR(スパイダー)ゴールド・シェア」の残高が1.15トン増加したのが印象的だった。過去最高値圏でも積極的な押し目買いが入っていることを表す。
いずれにしても、先行きの不透明要因の多さが金(ゴールド)の逃避需要を継続させており、過熱感のない高値更新が続く中での成功体験が、さらなる先高観を醸成する形で市場にフィードバックされている。
市場は本日30日発表の7月の米個人消費支出コア価格指数(PCEコアデフレーター)に注目が集まっている。市場では前回6月の前期比2.6%をやや上回る2.7%が予想されている。