亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

今週はイベント週、2600ドルを視野に入れるNY金

2024年09月02日 21時29分05秒 | 金市場

本日の米国はレイバーデー(労働者の日)の祭日。したがって3連休を控える先週30日の市場は金(ゴールド)のみならず手じまい売りが先行した。ただ、株式などは引けにかけて買われた。

 

発表された7月の米個人消費統計にてインフレ沈静化の一方で、個人消費の堅調さを示したことから、9月の利下げは(0.5%でなく)0.25%になるとの見方が強まり、利益確定の売りが先行した。NYコメックスの通常取引は32.70ドル安の2527.60ドルで終了。月間ベースでは2カ月連続の上昇となった。

FRBがインフレ指標として注視していることで知られる、個人消費支出コア価格指数(コアPCEデフレーター)の7月分は、引き続きインフレの沈静化を示した。前月比0.2%上昇で6月と変わらずだった。前年比では2.6%上昇でこちらも前月と変わらず。ただし、市場予想(2.7%上昇)は下回った。

前週のジャクソンホール会議での講演でパウエルFRB議長は、インフレが2%目標に向けた「軌道に乗っているという確信が強まった」としていたが、結果はそれを示すものだった。

 

一方、7月の個人消費支出(PCE)は、0.5%増と6月の0.3%増から加速した。

先週29日に発表された4~6月期の実質GDP改定値が、速報値の前期比年率2.8%増から3.0%増に上方修正され、個人消費の伸びが2.9%と、速報値の2.3%から上方修正されたのが目を引いたが、その内容と整合性のあるものだった。 消費者の支出が保たれつつ、インフレが鈍化していることを意味し、米経済は失業率を大きく上げることなくインフレを目標値(2%)に着地させるというソフトランディング(軟着陸)が可能との見方を強めさせた。

連休前ということもあり金市場では目先筋のファンドが、この内容に反応し手じまい売りを進め下げにつながった。

ただし、先物市場で売りが先行した一方で30日は、金ETF(上場投信)の最大銘柄「SPDR(スパイダー)ゴールドシェア」の残高は5.47トンもの増加が見られた。北米機関投資家の資金流入を意味するが、最高値水準につき売り買い交錯の中で流入増というのが現状とみられる。

 

今週は言わずと知れた月初のイベント週。

 

何と言っても6日(金)の8月米雇用統計に注目となる。FRBがインフレから雇用に政策の重点を移したことで、先週末のコアPCEデフレーターへの市場の反応は以前より落ちた印象だった。

雇用統計については、前月比で示される雇用者の増減よりも、前回予想を上回る上昇を見せ米景気後退観測まで生んだ失業率にある。市場予想は7月の4.3%から4.2%への改善となっているだけに、仮に悪化していた場合の市場の反応は大きくなりそうだ。

その場合、9月利下げ幅を0.5%と市場は織り込みNY金は高値を更新する可能性がありそうだ。

 

3日(火)のISM製造業景況指数、4日(水)のベージュブック(地区連銀経済報告)にも注目。

さらに7日(土)からブラックアウト(金融政策に関連する発言自粛)期間に入るが、6日(金)には、ウィリアムズニューヨーク地区連銀総裁、ウォラーFRB理事の講演が予定されている。雇用統計発表後の時間帯に予定されていることもあり、注目度は高い。

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