曽野綾子先生との間で、桜宮高校の件をめぐっての論戦が起こっているという。
「人の生き方は変えられない」という曽野先生の主張は、意外なことだが、ショーペンハウアーそっくりだ。彼は、セネカの「欲するということは、教えようがない」という言葉を、「意志と表象としての世界」の中で何度も引用している。曽野先生は、日ごろ、いろんなところで「人の生き方」に口出ししているのに、なんで今回に限って? 不思議だ。
体罰を受けてきた生徒たちが今までの「伝統」を守ろうとするのは、親に虐待されてきた子供が警察の事情聴取の時に親をかばうのと同じだ。すっかり「現状」に凝り固まってしまっているのだ。これを変えるには、やはり外部の力が必要だろう。