哲学者たちのさまざまなエピソードが、楽しい。公衆の面前でストリップを敢行したクレアンテス。女性を一目見ただけで処女かどうか言い当てたデモクリトス。
だが一番おもしろいのは、ストア派のゼノンの師匠が、キュニコス派(犬儒派)のクラテスだった、という事実だ。クラテスについては前にも書いたが、「人間にとって自然な行為は、何ら恥ずべきことではない」という信念の下、人前で妻とセックスを行った人物だ。
彼からの影響が、ゼノンの著書から窺える。「国家」の中でゼノンは、公教育も貨幣も不要、結婚制度も不要で女性は共有にすべき、と書いている。さらにゼノンには「愛の技術」という作品があるが、かなり具体的な「ハウトゥーセックス本」だったらしい。
ストア派の「克己」は、「勃起」を否定するものではなかったのにゃ。