旧約聖書の「世界」。
創世記第10章によると、大洪水の後に、ノアの息子セム、ヤフェト、ハムの3人から全人類が生まれたというが・・・。
旧約聖書の記述はあまりにもざっくりし過ぎていて、わかりにくい。「ユダヤ古代誌」(ヨセフス)から引用してみる。
セムからはペルシア人、アッシリア人、カルデア人(バビロニア人)、アラム人(シリア人)、リュディア人、バクトリア人、ユダヤ人他が生まれた。
ヤフェト(ヤペテ)からはガラテヤ人、スキュタイ人、ギリシア人、トラキア人、フリュギア人他が生まれた。
ハムからはエチオピア人、エジプト人、リビア人、カナン人、ペリシテ人(パレスチナ人)、シドン人他が生まれた。
以上を見てわかる通り、西はリビアから東はバクトリアまで、北は黒海北岸から南はエチオピアまで。これが、「世界」のすべてになっている。「ユダヤ古代誌」は、旧約聖書の記述を紀元1世紀の知識に基づいて「拡大解釈」しているような感じがするが、それでもこの程度だ。旧約聖書においては、インド人や中国人、ゲルマン人、ケルト人、新大陸人・・・は、人類の中に含まれていない。彼らには、彼らの天地創造神話があるのだ。
今まで長々と書いてきたが、旧約聖書は、日本人とは縁もゆかりもない。あくまでも、イスラエル(ヤコブの子孫)のための書物だ。旧約聖書が日本人を顧みないのなら、日本人が旧約聖書を顧みる必要もないだろう。アダムは日本人の祖先ではないし、日本人が「原罪」におびえるのは、ばかげたことだ。同じことは、ゲルマン人やケルト人にも言えるのだが。
確か去年の10月から読み始めて、9月30日に読み終えた。今は新約聖書に突入しているにゃ。来年からは「新約聖書を読む」が始まるのにゃ。待っててにゃ。