コーランを読む おまけ

2020-12-15 17:47:55 | 
 
 コーランを読んで気がついたこと。聖書とコーランに出てくる最後の審判と、北欧神話のラグナロクは違う。

 「ラグナロクは、キリスト教の最後の審判の影響を受けている」という説があるが、この二つはまったく違う。最後の審判では、一方的に神が人間を裁く。天国行きか地獄行きかを、神が決めるだけだ。これに対してラグナロクは、神々と巨人族の最後の戦いだ。両者共倒れになって、それまでの世界が終わる。神々と巨人族の力関係は互角で、聖書よりもむしろ、ギリシア神話のオリンポスの神々とタイタン神族の戦いがすぐに思い出される。また・・・。

 アイスランドの有力な政治家で詩人だったスノッリ・ストゥルルソン(1179~1241)が書いた、「ヘイムスクリングラ」という歴史書がある。紀元1000年ころのノルウェー王が、キリスト教をどんなやり方で国民に強制したのかが重要なテーマになっている。にも関わらず、聖書の内容がまったく出てこない。「信者に奇跡をもたらす宗教」といった程度の描写しかない。当時最高の知識人スノッリでさえこうなのだから、北欧のふつうの人々がキリスト教の最後の審判を知るはずもない。 
 キリスト教の影響を受けるどころではない。ノルウェーのオーラヴ聖王は、キリスト教への改宗を拒む者を殺したり、手足を切断したりして、国民から憎まれた。そうして最後には農民軍との戦いに敗れ、死んだのだった。
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