■筑北村の案件について
(1)論点
2022年6月23日質問書提出同年7月13日回答、同年10月7日2回目の質問を提出、同年10月31日回答、2023年1月30日3回目の質問書を提出、同年3月1日回答。同年3月7日4回目の質問書を提出、同年3月29日回答。同年8月4日県担当課と意見交換。
主要な論点は、地域森林計画対象森林の1ha以上の開発は森林法に基づいて県知事の「林地開発許可申請」が必要となる。今回の筑北村乱橋の案件は、4つの開発が年をまたぎながら順次開発がされた。①H30年2月1日0.8haの伐採届、②H30年3月16日0.4haの伐採届、③H30年9月12日0.5haの伐採届、④R1年6月21日0.5+0.8haの伐採届をそれぞれ筑北村に提出している。このうち①②④は隣接し、③は一段下につくられている。また、④については地域森林計画対象森林に含まれない(=地目が田あるいは畑などになっている森林ではない)箇所も含まれている。
林地開発許可申請を必要としないため、県は①と②の排水先を変えることと、①と②の間に樹林帯を設けることを指導した。しかし排水先が明確に変えられていないこと、樹林帯も伐採してしまったこと。加えて樹林帯は本来森林として残さなければならないのに、地域森林対象森林から除外し、私たちの指摘により、のちに戻している。
「本来、林地開発許可が必要な案件であった」という私たちの主張と県の主張は平行線であるが、以下の点については前進面として確認できることである。
(2)後追い的ではあるが国や県が規制を強化したこと
①分割案件への規制
電気主任技術者の届出がいらない50㎾未満の低圧設備として申請し、何十カ所も建設することが最近まで行われてきた。このことについては「一体的にみなす」(平成26年)としているが、何をもって一体的とみなすのか不明確でその後も分割案件はある。一方で、「発電量の3割は自家用に使用しなければならない」(令和2年以降)という法改正が行われ、これによる規制効果はあるようだ。
②維持管理の責任
維持・管理に責任をもたないような事業者が多数いることから、「売電収入から維持費や事業終了時の廃棄費用を外部へ積み立てる」ことなどの法改正が行われた(令和4年4月施行)。
③林地開発許可申請の強化
2022年9月県議会での中川の一般質問に以下の通り林務部長が答弁した。
「1㏊を超える森林を開発する場合は、森林法に基づく林地開発許可制度として、土砂災害の防止、水害の防止、水の確保、環境の保全という4つの観点から、厳正・慎重に審査し、基準を満たす場合に県が許可をしている。
これに加えて太陽光発電施設に関しては、残地森林と自然斜面への防災施設の設置などの基準を令和2年度から追加して審査をしている。
太陽光発電施設では同じ地域で1㏊以下の開発が複数個所で行われる場合もあることから、実施の時期、開発行為の共同性、集水区域等を確認し、開発行為が一体と認められる場合は、関係する事業者に対して林地開発の申請を行うよう指導している。
許可制度の対象とならない1㏊以下の小規模な開発では災害が発生する頻度は低いものの防災対策等を考慮することが必要。そのため、今後も市町村に提出された伐採届の写しの提供を求め、必要に応じて地域振興局の林務課職員が市町村に対してきめ細やかな技術的な助言等を行うなど、市長村や関係機関との連携を密にしていく。」
2023年4月から太陽光発電施設については、林地開発許可申請が必要な案件は、これまで1ha以上としてきた基準を0.5ha以上に強化した。
④長野県地域と調和した太陽光発電事業の推進に関する条例
改正地球温暖化対策推進法が2022年4月に施行され、市町村が促進区域を設定することができるようになった(長野県内では箕輪町が設定)。長野県は、促進区域から地域森林計画対象森林や優良農地を除外するガイドラインを6月に示した。さらにこの9月議会において「長野県地域と調和した太陽光発電事業の推進に関する条例」を制定し、10kw以上の発電施設を対象にし、地域住民への説明、安全の確保、環境・景観への配慮、維持管理計画の提出、罰則、情報の公開などについて定め、①地域森林計画対象森林、②土砂災害特別警戒区域、③地すべり防止区域、④急傾斜地崩壊危険区域、砂防指定地を特定区域とし知事の許可を必要とする。50kw以上の大規模事業は県への事前届出制、50kw未満の事業は市町村への事前届出制としている。
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