リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

東日本大震災から10年

2021年03月11日 11時17分35秒 | 日々のこと
朝寝坊していましたが、外で何やら不気味なサイレンの音で起こされました。やがてアナウンスが流れてきました。

「・・・海岸に近いところの方は、いますぐ避難してください。・・・」

え?地震?3階の天窓から外を覗いてみると、特に異変はなさそうです。ウチは海岸から何メートルだったっけ?赤須賀の漁港は汽水域だから、海には接していないし・・・まぁ海岸からは近くはないと寝ぼけた頭で判断して、一応テレビのチャンネルをつけました。緊急行動しなくてはならない災害はおこっていないようですが、多くのチャンネルは東日本大震災関連の内容を扱っていました。

東日本大震災が起こって今日でちょうど10年ということで、市は防災放送の訓練かテストをやっていたということでしょうが、大きな声で「これはテストです」って言ってもらわないと、ホントに災害が起こったときに「どうせまたテストだろう」なんて思ってしまうかも知れません。

10年前のその日、午前中に名古屋市北区のミューズ音楽館でレッスンを終えて、近くの大曽根駅ガード下の喫茶店でお昼を頂いていました。とそのとき突然大きくゆったりした横揺れに襲われ、初めはめまいでも起こしたのかと思いきや、やがて大きな地震だとわかりました。揺れは阪神淡路大震災のときより長く続き、ネットで調べてみましたら岩手県沖で大きな地震が起こったことがわかりました。

10年ひと昔とよくいいますが、あれからもう10年経っていろんなことが変わってしまいました。あの日レッスンをした生徒さんはご不幸がありもうレッスンに来ていません。お昼を頂いていた喫茶店(レトロな雰囲気でよかったのですが)も廃業し、新しい商業施設に替わっています。ミューズのご主人も私も10歳加齢し少し歳をとりました。デジタル化、ネットワーク化が驚くほど進み世の中を急激に変え、それは現在も進行中です。

ただ地震的には10年というのは一息ついた程度のことらしいです。実際先日かなり大きな余震が起こりました。歴史的には20年くらい経ってまた同じところで大きな地震が起こったということもあったみたいです。でも人間はおろかなもので、そこまで被害を受けていても100年経ったらもうほとんど忘れてしまいます。

被災した次の世代でかなり忘れ、その次の世代ではもう過去の歴史となり実感はできなくなります。そこでひとつ提案です。学校で「自然災害史」を独立した教科で教えてはどうでしょうか。社会科の教科内容の一部としてではなく、小学校1年生から中学校3年生までの9年間で日本で起こったいろんな自然災害、特に地域の自然災害について学ぶのです。防災教育は今も行われていると思いますが、単に避難行動だけでなくより継続的、系統的に学ぶのです。

長年現場にいた私としては新たに教科を加えることの困難さを十分すぎるくらい知っていますが、そこは先日任命された中教審の先生方にぜひ「無茶振り」をして頂きたいと思います。訳のわからない無茶振りは、中教審答申に基づく学習指導要領の改訂に携わる方や現場の先生方を悩ませますが、こういう無茶振りなら私としては大歓迎です。