リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

みんなのリュート通奏低音(9)

2022年03月12日 17時42分37秒 | 音楽系
ハーモニーの勉強は通奏低音を行うにあたってとても重要です。ハーモニーを勉強するとなると、きちんと勉強しなければと和声学の本を買ってきて読んで、三和音はこういうものだ、セブンスはどうだ、転回形はこんなのが、なんて頭に詰め込んでいる方がいます。真面目な姿勢はとてもいいのですが、そもそも順序が間違っています。まず実際の曲を沢山弾き(曲体験)そして調べ次に和声の本にあたるというのがスジです。

曲体験というのは弾いた曲数とそのために使った時間のかけ算です。和声の勉強するというには曲体験が少なすぎるという方が多いです。また和声学の本はこれさえマスターすれば全てがわかるという魔法の経典ではなく、単に和声に関する整理とまとめをした本にすぎないということも知っておく必要があります。。

またどういう和音がつながって曲が構成されているかを知ることもとても重要です。これは曲を弾いてみたり、楽譜を見ながら演奏を聴いて和音のつながりを理解するというのが実践的で有用です。バロック音楽の場合は特徴的な和音の流れがありますのでそれらを理解し直感的に分かる必要があります。

ここまでは和音の「認知(recognition)」に関することです。次に重要なのは和音の「再構成(reproduction)」です。これは覚えたバロック音楽的な和音のつながりを楽器で再現することです。これはこのシリーズで述べてきた実践的な事柄がベースになります。どういう和音なのか、どう和音がつながるかという認知とそれを自分で再構成できるようにするスキルが必要です。
(済み)

{ポイント8}
机上の和声学ではなく実際的な和声学を!