リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

音位転換

2022年03月22日 12時15分15秒 | 音楽系
テレビを見ていましたら、女性アナウンサーがドイツの首相をショツル首相と言っていました。ドイツ語をある程度知っている方なら、カタカナでショルツ(Scholz)と書いてあるのをショツルと読み間違えることはまずないと思います。このアナウンサーはドイツ語は学んだことがなく、「しょっつる」で知られる秋田県の出身なのかも知れません。

このように音がひっくり返った言い間違いのことを音位転換と言語学では言うそうです。ほかにも一杯ありますよ。

愛知県のとある生鮮市場にいきましたら、海藻の売り場のところに「フコダイン」が含まれて栄養たっぷり!なんて表示がありました。ぬめり成分のフコイダンのことでしょうけど、フダコインとかフダイコンとか言い間違いそうで、それを以来自分でもどれが正しいのかわからなくなってきました。

1974年に四日市で行われたギター愛好家のコンサートで2曲ほどギターを弾かさせてもらったのですがその録音が10年くらい前に元主催者の方から送られてきました。聴いていてとても懐かしかったのですが、場内のアナウンサーが「次の曲はタレルガのアラビア風奇想曲です」なんて言っていました。垂れていてはいけません。今は、あのアルハンブラの想い出を作曲した人はターレガとかタレガで定着していますが、当時はタルレガという表記も多かったです。(溝渕浩五郎著「タルレガ・ギター教則本」なんてありました)アナウンス原稿にはタルレガと書いてあり、そこから垂れてきたのでしょう。今は垂れないような対策が施されています。

でもシロウトのアナウンスだけが音位転換してしまうわけではありません。昔私の大学の大先輩のNHKアナウンサーが、ナンボジアカンミンと言っていました。カンボジア難民のことです。プロでも音位転換は起こるのです。

子供の頃、銭湯でおっさんが「ソ連が1ガメトンの水爆実験をやったでー」なんて言っていたのを覚えています。これっていつ頃だったんでしょうねぇ。ウチに内風呂ができたのが小学校の4年生頃ですので、それ以前の話ですね。WIKIで調べてみましたら、ソ連は1949年から1990年にかけて715回も核実験を行ったとあり、1961年10月30日には核出力50Mtという世界最大の核実験を行ったそうですから多分そのことだろうと思います。それなら「50ガメトン」でないといけません。大体銭湯で聴かれるおっさんの会話はいい加減な話ばかりでした。そういう場がなくなって久しく少々淋しい感じもしますが、今だとこのブログのようなネット空間の情報でしょうかねぇ。でも昔の銭湯のおっさんの話の方がたわいなく超ローカルでよかったな。