リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

モーリスから手紙

2022年03月24日 09時29分08秒 | 日々のこと
珍しく海外から手紙が届いていました。このEmailが一般的になった今日この頃、いったい誰からだろうと送り先を見てみますと、モーリス・オッティジェーからでした。

モーリス・オッティジェーはスイスのリュート製作家で、向こうにいたときはいろいろお世話になった方です。手紙を読んでみますと私から送った年賀状のお礼をメールで書いたのだが、届かなかったので手紙を出したとのこと。彼はメルアドを変えたから届かなかったと思っているようですが、私はスイスにいたときからメルアドはずっと変えていませんので多分彼の打ち間違いかなんかでしょう。

現在もとても忙しくなかなか時間が取れなかったとのことですが、ちょうどテオルボの塗装を乾かす工程に入って時間ができたので手紙を書いたとありました。ワクチンも何回か打って元気でやっているそうですが、感染してして重い症状の人もいること、オミクロン株はそんなに危険ではないということなど、遠く離れたスイスでも同じようなコロナ禍の状況です。ウィルスに足がついているわけでもないのに、同じようなコロナ感染状況というのはなんか不思議な気がします。

モーリスは最近、名古屋のギター製作家加納木魂作バロック・リュートの調整を頼まれたそうです。1975年製とのことですが、その頃はちょうど私も加納氏のバロックを購入した頃です。のちにその楽器は手放しましたが、ひょっとしてめぐりめぐってそれが今モーリスのところにある楽器、という可能性は十分ありますね。

そのモーリスのところにある楽器はとてもいい状態ですが、少し古臭い作りとのことでした。リュートは古臭い楽器には違いないのですが、ここでの意味はリュート製作黎明期のスタイルだということでしょう。それはモーリスの師匠のヤコブ・ファン・デ・ゲーストの仕事ととてもよく似ているとのことでした。それはそうでしょう、1975年頃私は加納氏の工房に入りびたりで、氏がファン・デ・ゲーストの楽器をよく研究されていたのをよく知っていますから。

その楽器の所有者はスイス人と結婚した日本人女性だそうで、私のことをご存じとのことでした。残念ながら私は彼女の名前を見てもどなたか思い出せません。コンサートに来ていただいていた方でしょうか。もう少し詳しくモーリスから聞いてもらおうかな。ひょっとしてその楽器がかつて私が所有していたものの可能性もありますから。