リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

日本が生んだクラシックの名曲

2022年03月30日 19時55分34秒 | 音楽系
東京人という月刊誌が「日本が生んだクラシックの名曲」というタイトルで黎明期から現代に至る日本のクラシック曲特集を組んでいました。本屋さんで目にとまったので立ち読みをしていましたら、結構記事の分量が多いので東京人を購入しました。何でも立ち読みですましてしまおうというケチな心根はいけません。

日本のクラシック音楽創作(作曲界)はなんかもう絶滅危惧種のような印象があります。アニメや映画の音楽は沢山作られていますが、いわゆるクラシック畑と言われる人ではなくポップス系の人がコンピュータを操って作るというケースがほとんどです。

でもクラシック系の人が作曲の主流であるはずだというのは実は錯覚で、「主流」が変わっていったと言った方がいいのかも知れません。クラシックギターの人たちの中で自分たちはギター音楽の主流だといまだに思っている人もいるかも知れません。ギター自体はいろんな楽器がある中でとてもメジャーな楽器ですが、クラシックギターは傍系の傍系、樹木に例えると細い枝のさきっぽにある小さい葉っぱ程度の位置づけでしょう。まぁクラシック音楽の作曲というのも大体こんな感じかな。

ともあれ、明治時代のヨーロッパ音楽を取り入れた黎明期から現代に至る流れを俯瞰できるということで今時とても珍しく読み応えのある企画でした。ただ、作曲家の人選にちょっと問題ありという感じも受けました。まぁあくまでも私の主観ですが、とりあげるべきだった作曲家が何人かいたことが気になりました。例えば入野義郎とか松平頼則あたりとか。一柳慧とか柴田南雄も「文字」としては出ていましたが、事実上採りあげていないのに等しいです。反面写真入りですぎやまこういちが出ていましたが、東京2020のオリンピックに音楽が使われたとはいっても、この特集ではとりあげる必要はない人でしょう。

少し惜しかったのが評論家の片山杜秀の記事が何本か掲載されていましたが、全て「談」で、インタビューから記事を起こしたものです。氏は筆の立つ人なのでどうして実際に書いてもらわなかったのか不思議に思います。

とはいうもののとても力が入り読み応えがあるこの企画、日本に住んでいてクラシック音楽に興味のある方は必読です!