リュート奏者ナカガワの「その手はくわなの・・・」

続「スイス音楽留学記バーゼルの風」

傑作のジャングル

2022年10月04日 15時52分15秒 | 音楽系
バッハのカンタータや受難曲は、彼の創作の中核をなす作品群です。カンタータは200曲を超える作品が伝えられており、受難曲も4曲書いたらしい中で2曲が残されています。バッハの作品を自慢げに?語る人で器楽曲ばかりを挙げていてる方がいますが、これはバッハをあまり知らないと言っているのと同じ。よく傑作の森なんてことばをベートーヴェンの作品なんかに使いますが、バッハの声楽関連作品群は「傑作のジャングル」です。(笑)もうここに入ったら出られなくなってもいいくらいです。

これだけの大密林ですから全曲録音した音楽家はそう沢山いるわけではありません。古くはレオンハルトとアーノンクール、そのあとではコープマン、ガーディナー、鈴木雅明らが全曲(ほぼ全曲?)録音しています。ヘレベッヘとかモントリオール古楽合奏団(指揮者は誰だったっけ?)はいい録音を残してはいますが、全曲は録音していません。

そんな中私が注目しているのは、ルドルフ・ルッツ指揮のバッハ財団管弦楽団です。スイスのザンクト=ガレンに拠点を置く同楽団は2006年に設立されたばかりですが、全曲録音したような感じがするくらい沢山録音していますが、まだ全集のボックスは出てないところをみるとあと一歩というところなのかも知れません。

スイスを拠点にしているだけあって、スコラ出身の人も多分多いのではと、アーチスト名を見てみると、ありました。カウンターテナーのアレックス・ポッター、恥ずかしそうにグローサー・ザールで歌っていたのが思い出されますが、いい仕事をするようになったもんです。カンタータ198番は誰がリュートを弾いているかを見てみますすと、マリーアとビンセントの名前がありました。二人とも私が留学していた当時一緒にホピーのクラスにいた人たちです。マリーアはスペイン人ですが、あまり名前を聞かないのでどうしているのか気になっていましたが頑張っているんですね。ビンセントはスイスのフランス語圏出身で、製作家のモーリス・オッティジェーは彼のことをよく知っていました。何でも高校生くらいの頃は超秀才でならした人だとか。2013年頃、スイスに行ったときにベルン駅の地下で彼とばったり会ったことがありました。なんという奇遇!。彼はこの楽団以外にも録音を聴いたことがあります。

当楽団の演奏はナクソスで聴けますので、しばらくは傑作のジャングルに入りこんでみましょう!