Pの世界  沖縄・浜松・東京・バリ

もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

ドリアンから生まれた車

2007年09月23日 | バリ
 日本で果物の中から誕生したといえば、桃太郎である。桃が二つにパカっと割れると、中からかわいい男の子が生まれた話は日本昔話の定番でたいていの日本人ならば知っている。
 さて、私は先日、バリの官庁街をバイクでぶっ飛ばしていたときに、とんでもないオブジェを見つけたのであった。それは「果物の女王」と呼ばれるドリアンの中から生まれた車をイメージした大きなオブジェである。たぶんこれは車の宣伝なのだろう。果物の女王というくらいなのだから、そこから生まれた車もそんな気品ある高貴な香りを漂わしているのであろう。
 しかし、実際のところ、私はドリアンという果物をたった一口すら食べることができない。だいたい人は、ドリアンをものすごく好きなタイプと絶対に食べないタイプに二分できる。なんだかその中間タイプというのはいない気がする。私はその匂いで完璧にアウトである。好きな人には「女王の香しき香り」なのかもしれないが、私には「肥溜め」「たい肥」など、どれも「臭さ」と結びつく印象ばかりである。一度、ジャワに行くとき、夜行バスに熟れたドリアンを載せたインドネシア人がいて、私は一晩中、その匂いで吐く寸前に追い込まれたことがある。ちなみにインドネシアの国内線は、確かドリアンの機内持ち込みは禁止である。
 この官庁街のオブジェの横を通るたびにいつも思うのだが、私は決してこの車を買わないだろう。だいたい近寄るのも嫌だし、きっと車中にあの匂いがこびりついて、どんな車の香水を使ったところで消えるはずがないからだ。日本人なんかに買ってもらうための宣伝じゃないから「どうぞご自由に」とでも言われるだろうが、私のバリ人の知り合いの数人もドリアンが何よりも嫌いである。ということは、必ずインドネシア人にもこのオブジェがマイナスイメージとして受け取られているはずなのだ!