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もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

なぜサヌールのビーチは美しい?

2007年09月24日 | バリ
 バリ島にはサヌールという海浜リゾート地がある。といっても日本の団体観光客の大半は、ヌサドゥア、クタの二つのやはり海沿いのリゾート地へ宿泊することが多く、サヌールには日本人は少ない。車もあまり通らず、長期滞在をするオーストラリアやヨーロッパからやってくる観光客がのんびりと一日を過ごしている。私はこの静かで、少し寂れたリゾート地が大好きである。
 このサヌールの海岸には、海岸沿いに遊歩道が作られていて、サヌール海岸の北から南まで歩くことができる。日の出の頃、東に広がる海は真っ赤に染まり、涼しい海風が吹くこともあって、この遊歩道は、早朝からたくさんの健康志向のバリの人々が集まるウォーキングスポットとしても有名である。高血圧の私も運動不足解消に今回の滞在中、この海岸通りを早朝に何度か歩いた。
 歩きながら思うことだが、サヌールの海岸はとても美しい。観光パンフレットのチラシや広告に出てくるような場所にたびたび遭遇する。しかし、この海岸は自然に作られたわけではない。正直のところ、人工海岸と言っても過言ではない。やっと太陽の光が少し地平から顔を見せる時間、サヌールの海岸には、お揃いの服を着た清掃員が集まり、海からの漂流物や海岸に捨てられたゴミを回収し、あるものは海岸に掘った大きな穴に廃棄され、あるものは車で運ばれていく。暗い海岸にはほとんど人がいないためにこの作業を目にする人は少ない。つまりは涼しく、誰も見ていない時間に作業をするのである。同じ頃、ホテルのプライベートの整備が始まる。まだホテルの宿泊客がぐっすり眠っている頃である。ホテルの従業員はゴミを一つ残らず拾い、さらに風紋のような筋をつけていく。
 多くのバリの人々が遊歩道を歩き出す頃、海岸では作業員たちが大きな樹の日陰で輪になって談笑している。「朝からおしゃべりしてバリ人は働らかないなあ」なんて思ってはいけない。すでに彼らがすっかり作業を終えた時間なのだ。サヌールのビーチは、そうした人々の日々の努力で美しくあり続けている。