Pの世界  沖縄・浜松・東京・バリ

もの書き、ガムランたたき、人形遣いPの日記

植木屋にて

2010年03月15日 | 那覇、沖縄
 きのう植木屋に寄った。苗木を眺めていると、買い物客の一人が私に話しかけてきた。
 「これ、ゴーヤね? それともナーベラー(ヘチマのこと)ね?」
前触れもなく、突然尋ねられたので少し驚いたが、沖縄風に「わからんさ」と答えてみた。おばさんは「そーね」といって、他の年配の女性の買い物客に同じ質問をした。やっぱり「わからんね。お店の人にきいたらどうね。」と言われていた。
 どちらも似たような葉だから素人にはわからない。それに特別価格で一株20円だったし、店屋の人はいちいち種類を書くのも面倒だったんだろう。植えてからのお楽しみってことだってありだし、沖縄ではナーベラーだって「たわし」にしないで、食べちゃうから結果的には、ゴーヤと同じにお腹に収まるのである。
 しかし、いくら安いとはいえ、わが家は一軒屋ではないし、三階のベランダで棚をつくる苗は育てられない。なんとなくそんな会話を経験したからか、私はその一連の流れの中で、一株50円の「大葉」の苗を一株買った。しかし、帰りの車の中で、私が経験した「一連の流れ」はすべて仕組まれたものだったのではないか、と考え始めてしまった。あの女性たちはすべて私が苗を一株買うための「仕掛け」だったというものだ。考えすぎだよ。そう思うのだが、ぼくの記憶からは、あの二人の女性たちが、ある時点からすっぱりと抜け落ちている……。